いくつかの『影』が地上を見下ろしている。


「魔石が……残っていたか。すべて破壊したはずなのだがね」

「他にも存在している……と思った方がいいかもナ。近頃、色々なダンジョンで“事故”が起きてるみたいだゼ」

「ふゥん。ま、それくらい刺激があってもいいんじゃないアルか? 最近のダンジョンはぬるいネ」

「ぬるいだァ? まだ最大のダンジョンが攻略できてねーだろうがヨ」

「ぬるいと言えば、冒険者。このまま質の低い冒険者が増え続けるのも問題である」

「淘汰されるべき」

「その問題はまた別だ。ではこの件は経過観察ということで」


 影たちは去り、一つだけが残り、そしてつぶやく。



「ようやく……ようやく、始まるのですね……く、ふふふふふ」


 影は闇となり。


 地上へと落ちた。

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