パーティー当日 本番

会場につながる廊下に着いた俺たち。そこまでパーティー会場の喧騒が聞こえてくる。俺はなんだか緊張してきた。ケイはそんなそぶりを見せない。場数を踏んでいる違いなんだなと妙に納得した。俺が緊張しているのを察したのか「今までこのために練習してきたんだもの。平常心。いつも通りに踊ればいいわ」とケイが言った。


『次は橘社長のお嬢様慧様と、パートナー様の模範ダンスです』とアナウンスがあった。「さ、行くわよ」ケイは俺の手を引いて会場の中央へと進み出た。たくさんの拍手の中お辞儀。そして曲が流れ始めた。ケイと俺はポジションを組み踊り始めた。何度も何度も練習したルーティン。体が覚えているのか流れるように動く。ケイに負担を掛けないよう俺はしっかりステップを踏み笑顔を絶やさなかった。

踊り終わって、中央に戻りお辞儀をすると、会場から『アンコール』の掛け声が何度も起きた。桧山先生の方を見ると頷き司会者と話をしていたが、司会者が『アンコールに答えてもう一回踊って貰えるそうです。皆様盛大な拍手をお願いします。』とアナウンス。拍手が沸き起こり、曲がかかると俺たちはもう一度踊った。

2度目のダンスが終わると深々と礼をして盛大な拍手の中、俺たちは会場を後にした。後ろから『素晴らしいダンスでしたね、それでは皆様しばらくダンスタイムお楽しみください』というアナウンスが聞こえてきた。


少し会場から離れたところで、桧山先生が「よく出来ました。とても素敵なダンスでしたよ」と褒めてくれた。それを聞いて俺はやっと終わったんだと心底安堵した。

控室に戻り、ケイが「私は着替えて会場に戻るね、ヒロほんとうにありがとう」とケイが言って……

いきなりドアが開き男の人が入ってきた。「このバカ娘!」と怒鳴ってケイを殴ろうとする俺は思わす割って入った。パシッ大きな音が控室に響いた。

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