パーティーを来週に控えたレッスン3
練習着に着替えて、スポーツ飲料を飲みながら少し休憩。そして、俺とケイは流れに沿って踊り続けた。途中先生のストップが掛かって指導を受け、また指摘されたところの注意しながら踊っての繰り返し。しばらく踊っていると二人とも汗びっしょり。息が上がってきた。
「さあ、これで今日のレッスンは最後にするから、もう一回流れに沿って」という先生の掛け声で、気力体力を振り絞って踊った。曲が終わってフロアーの隅まで移動すると。「よく頑張ったわね、今日のレッスンは終了します」と先生が言った途端に、二人ともフロアーに座り込んでしまった。ハアハアと息が切れる。先生が近寄ってきてスポーツ飲料を渡してくれたそして「疲れた状態でも踊れないと、本番は緊張するからね」と半分笑いながら言った。
「今日はこれから昼食にしましょう。私が用意しているから、食べてから本番の打ち合わせをしたいし」と先生は言い、インターフォンのボタンを押して「食事の用意をして頂戴」と言った、インターフォンから「承知いたしました」と声が聞こえた。
俺はケイの手を取ってゆっくりと立ち上がった。それを見た先生が「用意できるまでソファーで休んでて」と言ったので、スポーツ飲料を持ったまま二人でソファーに座って、スポーツ飲料を少しづつ飲んだ。
ドアが開いて、ラグが持ち込まれ低くて広い机が置かれた。そして、ワゴンで運ばれた料理が並べられた。用意ができると使用人たちは立ち去った。
「こっちにいらっしゃい。ケイはここヒロはここね。足を投げ出して座って」と俺たちを呼んだ。俺たちは机に近づき言われた通り足を投げ出した座った。俺たちが席に着くと先生が「いただきます」と言って食べ始めた。俺も、ケイもそれに倣って食べ始めた。3人は黙々と食べていたが、お茶を飲み始めたころから話が始まった。
先生が、「ケイパーティーの流れを教えて頂戴。」と言うとケイは、「パーティーは12時に始まります。父の挨拶があって、私たちの出番は1時頃になります。ヒロには最初は普通のスーツで来てもらいます。あくまでも表向きは男性役なので。そして着替えメイクをして、踊りが済んだら、メイクを落として、スーツに着替えて、帰宅となります」と答えた。「それなら、11時半ごろには来てもらわないとね。メイクを一からやるとかなり時間がかかるから」と先生。「ヒロには来てもらって用が済んだらすぐ帰ることになって申し訳ないんですが」とケイがすまなそうに言う。「かまいませんよ、最初からそのつもりでしたから。待ち合わせ時間と場所を決めてもらえばあとはそちらの言うとおりにします」と俺は答えた。「ありがとう。そう言ってもらえると助かるわ、無理ばっかり言ってごめんなさい」とケイ。「無理を承知で引き受けたんですからご心配なく」と俺は重ねて言った。
「それじゃ流れは解ったわ。後は少しづつ詰めていきましょう。ケイとヒロの衣装は私が会場に持って行くから、後は二人で練習していてね、あ、それとヒロあなたの連絡先を教えて、必要になるかもしれないから」先生にそう言われ俺はスマホを持ってくると先生と連絡先の交換をした。
「それでは今日はお開きにしましょう。二人ともお疲れさまでした。ケイ決まったことは随時連絡してね」と先生に言われ、ケイは「解りました、ありがとうございました」と言い。俺も「ありがとうございました」とお礼を言った。
「じゃ、また」と先生は言って母屋へと帰って行った。使用人たちが入ってきて片づけを始めたので、俺たちは着替えをして帰る支度をした。
ケイが車を呼び家まで送ってくれた。家の近くで俺が降りるとケイが「練習の事とかまた連絡するね」と言った。「お願いします、また」と俺が言うと車は走り去った。
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