パーティーを来週に控えたレッスン1

一通り通しの練習の後、桧山先生が「今日はドレスと、タキシードを着てみましょうね。ヒロ着付けをするからこちらへ。ケイも着替えて」と言って桧山先生は更衣室へ俺を案内した。そこに置いてあったのは補正下着とふんわりしたドレス。『これを着るのか。女装が好きな俺でもちょっと勇気のいりそうな・・・・』口には出さなかったけど。

「服を脱いで、補正下着を着て、ドレスの袖に手を通して」と先生が言う。俺は言われたとおりに着替え、「袖に手を通しました」と言った。先生は俺の後ろに回り、ファスナーを上げ、腰のリボンを結んだ。そして「さあちょっとメイクをしましょうここに座って、目をつぶって」と鏡の前に座らされた。先生はしばらく俺の顔にメイクをしていたが、「さあ、目を開けてごらんなさい」と言われ俺は目を開けた、「わぁ!!!」思わず声が出た。「これが、舞台用のメイクよ、当日も私がメイクするからね」先生はにこにこしながらそう言った。

鏡に映った自分の顔が信じられなかった。俺の女装と違って本格的な舞台メイク。

メイクだけでこんなに変わるものかと改めて思った。「さあ、ケイを驚かしましょう踊ってみてから、アクセサリーを決めるから」先生は面白がっているような口調でそう言った。

俺が、先生に手を引かれてフロアーに入るとケイがびっくりした声で「え!ヒロなの!」と叫んだ。「メイクで変わるでしょう」と先生が答えた。「びっくりしたぁ。こんな奇麗な人と正装で踊れるなんて素敵!」とケイは答えた。「ケイのタキシードも素敵よ」と俺は言った。

「さあ、まずは踊ってみましょう。ヒロドレスを着てるから裾に気を付けて。足に絡ませないように。ケイはヒロのドレスの裾を踏まないようにね。曲かけるよ」ダンスの曲が流れ始めた。俺とケイはポジションを組み踊りだした。一曲どうにかミスなく踊れた。曲が終わると先生が手をたたいて、「よく出来ました。これなら本番も心配ないわ。あとは会場にはいるとこから流れに沿って動くだけ、いったん休憩。流れを説明するから」と言って、フロアーの中央の壁際に折りたたみいすを2脚置いた。「この椅子に座って見ていて」先生に言われた通り俺たちは椅子に座り先生の方を見た。

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