翌日曜日
俺が目を覚ました時、日は既に高く昇っていた。時計を見ると9時。ずいぶん寝坊したものだ。思いのほか疲れていたらしい。
顔を洗い、朝食を食べ、片づけていると、電話がかかってきた。
『知らない番号だ、だれだろう?』と思いながら電話に出て、「はい、宮原です」と名乗った。
「宮原君だね、起きていたか、今少しいいかね?」なんと電話の主は部長、俺はいっぺんに仕事モードになって、「はい、大丈夫です」とかしこまって答えた。
部長は「昨日、橘社長から連絡があってね、君がお嬢様のダンスのパートナーを引き受けてくれたことを大変喜んでいた。なんでも、今年はお嬢様の方がなかなかパートナーを決めなくてやきもきしていたらしい」と部長は話始めた。『そりゃ、あんなことを考えていたら、決まらないよな』と俺は思ったがもちろんそんなことは口には出さない。黙って部長の話を聞いていた。
「そこでだ、君は初心者だし、練習の時間を取ってほしいと頼まれてね、土曜日はダンスの先生のところに行くんだろ?」と部長。「はい、次の土曜日にレッスンに行くことになっています」と俺。「それで、水曜日か木曜日お嬢様の都合がつく日に君も休みを取って練習したらどうだろうか、もちろん、表向きは仕事上の付き合いと言うことにして出張扱いにする。どうだろう」と部長は話した。
「私は構いませんが」と俺は答えた。「それなら、お嬢様と連絡を取って話をして。決まったら、今かけている電話番号にメッセージをいれるように。頼んだよ。くれぐれも間違いのないように」とくぎを刺すように部長は話した。
「承知いたしました。仰せの通りにいたします」と俺が答えると、電話が切れた。
間違いも何も、起きるはずないよな。お嬢様にとっては俺は自分のやりたいことを叶える相手なだけなんだから。でも、部長から頼まれたからにはやり遂げないとな。仕事として。俺はそう思いながら、ケイにGメール送った。
夕方になって、ケイから返事が来た。ケイも父親から話を聞いていたらしく水曜日に練習するということで話がついた。俺は部長に水曜日に練習するメッセージを送った。
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