家に帰って

俺はどうにかアパートに帰り着いた。ウイッグを外し、服や補正下着などを脱いで、つけまつげを取り、シャワーを浴びるためにバスローブを持って浴室に向かった。クレンジングで化粧を落とし、髪と体を軽く洗った。そして浴槽にお湯を張った。後でゆっくり入ろう。

鏡の前に座り、奇麗に化粧を落として、肌の手入れをした。そうそうネイル落とさないと。女装は楽しいが、男に戻るには手間がかかる。

そこまでやってやっと一息。冷蔵庫からサイダーを出して床に引いたラグに座って足を投げ出して飲み始めた。「疲れた~」ため息が出る。そうこうしているうちにお湯が張れた音がしたので着替えを持って風呂場に行き、ゆっくりと風呂に入った。お湯につかりながら足のマッサージ。少しづつ痛みは引いてきた。夕飯どうするかな~。買い物に出たくないし、チキンあるから、ご飯炊いて、何か汁物つくればでいいか、今更ながらチキンを持たせてくれたケイに俺は感謝した。

言い忘れたけど、俺は基本自炊する。料理は嫌いじゃないが一人分だと簡単にできるものを作ることが多い。足が落ち着いたので、米をいで炊きあがり時間をセットした。後はチキンがあるから簡単な汁物と冷蔵庫にあった野菜を切ってドレッシングで食べることにした。

用意を済ませて、スマホを確認するとケイからGメールが届いていた。

『今日はお疲れさまでした。足大丈夫ですか?パソコンの方に資料をメールに添付して送りましたので確認してください』とある。俺はパソコンを起動させ、メールを確認するとケイからのメールを見つけた。添付資料をダウンロードして保管した。

そして保管した資料を開いて確認した。

資料を見ながら、俺はスマホで「資料確認しました。ありがとうございます。少しづつ勉強します」とGメールで返事をした。

映像を見ていると、桧山先生の指導が的を得たものだと分かった。足が落ち着いたら明日から家でも練習しよう。と、俺は意欲が湧いた。

それにしても、上半身を同じ姿勢で維持しながら、下半身を動かして踊るというのはかなり難しいものだ。お互いの息が合わないとうまくいかない。それにケイの話だと女性の方が男性に合わせて動かなくてはならないようだし、ダンスが上流社会ではたしなみなんて・・・。上の世界ってかなり窮屈なことがあるんだな。ケイはそれも嫌なのかもね。『現状を打破したい。』そう言っていたケイの言葉が思い出された。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る