レッスンが終わって
ブーブー先生のウエストポーチからスマホのバイブの音がした。先生はスマホを取り出し、電話に出た。「え、もうそんな時間。解ったわもう少ししたら行くから用意しておいて」と言って電話を切った。
「ごめんなさいね、次の予定の時間なの。今日のレッスンはこれで終わり。また来週の土曜日にしましょう。ケイここのカギを預けておくから、ヒロの仕事帰りでも時間があるとき練習にきていいわよ。ダンスシューズはあなたが持っていてね。
それと、今日は二人とも疲れているから、ここで昼食でも取りながら、映像を見たりしていたら」と先生は言った。
ケイが「そうさせてもらいます。男性のステップがこんなに大変とは。私も勉強し直さないと」と答えた。
「じゃ、お疲れさまでした。又ね」と先生が言ったので、二人で立ちあがり「ありがとうございました」と言って礼をした。先生はそれを聞いて、立ち去った。
俺は「ここで、食事なんかしていいの?」とケイに尋ねた。「ええ、ここでパーティーをすることもあるし、その時は料理とかも盛大に用意して、飲んで、食べて、ダンスしてだから。あ、お酒は軽いものよ。ダンスすると酔いやすいから」とケイはにこにこしながら答えた。
俺たちは先ほど座っていたソファー席に移動した。「ヒロ,ダンスシューズを脱いで座って、これに足をのせて」とケイがスツールを持ってきた。「ヒールを履いて踊ったから足が疲れたでしょう。これに乗せていた方が楽になるから」とケイが言う。「ありがとう」と俺は言って足を乗せた。実際足の痛みはかなり酷かったが、確かにスツールに乗せた方が楽になった。
「さあ、何食べましょうか?」ケイがデリバリーのカタログをたくさん持ってきた。
「お昼だし、あまり食べるとお化粧が崩れるかも、だいぶ汗かいたからちょっと心配」と俺は答えた。
「じゃぁハンバーガーなんかどう?」とケイ。「え!ファーストフード食べるの?」と俺。「失礼ね、大学の友達とは普通にファーストフードもファミレスもカラオケにも行くわよ。その方が楽しいしね。いつもこの前のような料亭を使っているわけではないわ」とケイは笑いながら気分を害した風もなく言った。
「えっと、ハンバーガーだったら、ここで注文して、ドライブスルーで買ってきてもらえばいいわね。桜バーガーがここから近いか。ヒロ、桜バーガーのメニューを見て注文決めて」ケイがそう言うので、俺はスマホで桜バーガーのサイトを開きメニューを見た。「桜スベシャル飲み物はアイスコーヒー」と俺はケイに言った。「そうね、じゃ買ってきてもらいましょう」とケイは言って備え付けてあるインターフォンに向かいボタンを押した。「はい」とインターフォンから返事があるとケイは「桜バーガーを買ってきてもらいたいんだけど頼めるかしら?」と言った。「はい、承ります少々お待ちください」と声がしてインターフォンが切れた。ケイは小声で何か言いながら、スマホを操作していた。「よし、これだけあればいいでしょう」とケイが注文確定ボタンを押したようだった。
「失礼します」母屋の通じるドアから使用人がワゴンを押しながら入ってきた。「注文は確定されましたか?」使用人はケイに尋ねた。「確定したわ」ケイが答える。「それではデーターを転送ください」と使用人は小型のプリンターを差し出した。ケイがデーターを送信すると注文がプリントアウトされた。使用人はその紙をケイに渡し「ご確認お願い致します」と言った。ケイはその紙とスマホを見比べて「間違いないわ、これで支払って、お願いね」と返した。「承りました、少しお時間を頂戴いたします。冷茶をお持ちいたしました」と返事をし、サイドテーブルにアルミプレートを置き冷茶の入ったピッチャーとコップ、ソーサーを乗せた。そしてプリントアウトされた紙とお金をケイから受け取ってワゴンを押しながら出て行った。
「買ってくるまでお茶飲んで、ビデオ見てましょう」とケイはデッキを操作し始めた。
「ちょっとお化粧直して来るね。」俺はそう言って自分のバックを持ち席を立った。
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