ダンスのレッスン 組んでヒールを履いて・・・

数10分休んだろうか。先生がヒールの靴を持ってきた。

「ヒロ履いてみてくれる?座ったままでいいから」と先生が俺に言った。俺がダンスシューズを足を入れると、先生は外側から足に合っているか触って確かめた。

「大丈夫そうね、ヒロ立ってみて」言われたとおり俺は立ち上がった。

「うん。靴はフィットしている。ヒロ手を引くから、歩いてみて」俺は先生に手を引かれ、レッスン場まで進んだ。

「どう、一人で歩けそう?ケイは女の子だから、あなたが寄りかかっては支え切れないの。普通にいいから歩いてみて」先生がそう言ったので俺はそろそろと一人で歩いてみた。

「これならいけるかな、組み方を教えるね、ケイ来て」そう言ってケイを呼んだ。

先生は俺に女性役の姿勢を取らせケイが男性役でポーズを取った。

「ケイはそのまま姿勢を維持して男性のステップでリードの練習してて。ヒロ、私が相手するから、その姿勢を維持してステップを踏んで、基本は足を交互に歩く。私の足を踏んでもいいから、遠慮しないで。いくよ!」と先生は俺と組み男性としてリードしながら歩き始めた。

最初は普通に歩いて、二拍子、三拍子と難易度が上がり、最後はフロアーをぐるりと円を描くように回り始めた。俺はついていくのがやっと。とにかく足を交互に動かしてそれだけを考えていた。

「ヒロずいぶん上手になったわね。ケイこちらに来て組んで踊ってみて」先生がケイを呼ぶとケイは来て俺とダンスのポジションで組んだ。「そう、そのポジション。これを維持したまま踊るのよ、三拍子で前後に動いてみて」先生の一二三いちにっさん二二三にいにっさんの掛け声に合わせフロアーを前後に歩いた

「さあ、次はフロアーを回りましょう。ケイしっかり方向をリードするのよ。ヒロはステップを踏むことだけを考えて」と言う先生の掛け声で二人でフロアーを回り始めた。

何周しただろうか「はーい、ストップ休憩」先生の声でポジションを解いた俺たちは思わずフロアーに座り込んでしまった。二人とも息が切れる。ハアハアしながら息を整えていると、先生がスポーツ飲料を持ってきてくれた。何も言えず二人ともフロアーに座ったままゆっくりとそれを飲んだ。

「二人ともよく頑張ったわね。ここまでくれば後は練習すれば踊れるわ。特にヒロ、あなたがこれだけできるとは思わなかった。合格よ。あなたにケイの女役のパートナーを務めてもらいたいわ。受けてくれるよね」先生は俺に向かってそう言った。

「その約束でしたから、お受けします」と俺は答えた。

「ケイ、よかったわね」先生はケイに話しかけた。「はい!!」ケイは嬉しそうにそう答え、「ヒロ、よろしくお願いします」と座ったまま言った。「よろしくケイ」俺も座ったままそう答えた。

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