ダンスのレッスン 初級編
先生は「靴を脱いで上がってね」と言った。
まずケイが続いて俺が靴を脱ぎ、シューズボックスに靴を入れて中に入った。
「荷物を置いてトイレを済ませてきてね。ケイ案内して」と先生が言い、ケイは「はい。ヒロ、ここに荷物を置いて、行きましょう」と答えた。俺は言われた場所に荷物を置いてトイレを済ませた。
建物の中はかなり広い練習場で、片面は鏡張り。俺はそこがケイが見せた動画が撮られた場所だと気がついた。『こんなところで練習するのか~。バスケとは偉い違いだ』と思ったがそんなことはおくびにも出さず、ケイと伴に先生の前に並んだ。
先生は「ヒロさんは、初めてだし、ケイは男性のステップを覚えなくてはならない。かなり大変だと思うけど、ついてきてね。ダンスの基本は歩くこと、まずは姿勢を正して、歩くことから始めましょう、ヒロさんまずは素足で、つま先立ちで歩いてね。かかとから前、つま先から後ろに歩くの」
と、先生は簡単に言ったが、前に踵から、後ろにつま先から歩くだけでもかなり難しい。それに慣れてくると次は二拍子で前後に歩く、三拍子(ワルツのリズム)で前後に歩くと段階的に難易度が高くなって、ヒールを履いて無いのに俺は足が攣りそうになった。
「はーい!いったん休憩」1時間ほど経っていただろうかその声に俺は心底ほっとした。「水分補給しましょう」と練習場の隣に設けてある休憩室のソファーに案内してくれた。
先生は冷蔵庫からスポーツ飲料のペットボトルを出して息切れしている俺たちに渡してくれた。ケイが「いただきます」と飲み始めたので俺も「いただきます」と言って飲み始めた。
「ケイもヒロもよく頑張ったわね、特にヒロきつかったでしょう。お疲れ様。あとはヒールを履いて、組んで歩ければ踊れるようになるわ。ヒロ、あなたのことはケイから詳しくきいています。私もね、ケイと同じで女性が男性に無条件に従うのはこの時代に合わないと思ってる。だから協力することにしたの」と桧山先生は俺に向かっていった。
俺は、「私にケイさんのパートナーが務まるとお思いでしょうか?」と先生に尋ねた。「そうね、それはこれからの練習が終わってから話しましょう」はぐらされた感じはしたが、それだけヒールを履いて組んで踊るのは難しいのだろうと俺は理解した。
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