慧が俺を指名した理由
俺はふと気づいた、ケイが男役をやりたいのなら、相手は女役のはず。なぜ俺を選んだのか?疑問に思った俺はケイに「ケイさんが男役なら、相手は女役でしょ。なぜ俺が?俺は男ですよ?」俺はケイにスマホを返しながら問いかけた。
「そこなのよね、私があなたを指名した理由・・・・。あなた女装するでしょう!」
その言葉を聞いて俺は驚いた。俺の女装趣味は誰も知らないはずなのに・・・・。頭が混乱して何も考えられなくなった。
「私ね、あなたの大学の後輩なの、今4年生。1年生の時バスケの応援に行って『ヒロコ』って声を何度も聞いたのね。男子バスケでヒロコ?それで興味が出て名簿を見てみたら宮原比呂子と書いてミヤハラヒロシと読むことが解ってそれが最初かな。その後、先輩から女装させられた話とかも聞こえてきたわ。今年、またパーティーが近くなって、ふとそのことを思い出したのよ。そして悪いとは思ったけどあなたのこと調べされてもらったの。父の取引会社に就職して営業マンをやっていることを知ったわ。先日調査を続けるよう依頼していた人から、『あなたのアパートから女性が出てきた』と報告を受けたのね。まさかと自分で確かめに行って、よく観察したらその女性があなたであることに確信を得た訳。あなたが一人暮らしなのも確かめたし。あなたなら男装した私の相手役を務めることを承知してくれると思ったのよ。女装したいあなたと、男装したい私。いいコンビだと思わない?」ケイは一気にまくしたてた。
俺は、困惑しながら「それなら、ケイさんが男装して、女性のパートナーと踊ればいいだけでは?」と言った。
「それじゃダメなのよ!それも考えたわ。でも、それでは父の考え方を変えるだけのインパクトが無い。父は会社を経営しているけど、頑固なところがあって、『私に婿を取って婿に会社を継がせる』って言うの。私が卒業したら勉強して私が継ぐ!と言っても『駄目だ!』の一点張り。今時女社長なんて珍しくないし、経営手腕に女も男もないじゃない。そうゆうことが解らない人なの!男女が入れ替わって踊ることに意味があるの!!古い考え方を打ち破ることが!!!」ケイは興奮した口調でそう言った。俺は、お嬢様と思っていたケイがかなり活発で、しっかりした人だと思ったが申し出を受けるかは別の問題。なんせ、ドレスを着て踊るんだ。普通の女装とは桁違いに難しい。もともとダンスの経験もないし、どうしたものかと頭を抱えてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます