第2話仕事と趣味
平日はスーツを着てまじめに仕事。仕事中は女性ファッションの話などはスルー。
同僚との会話も気を付けた。会話の中に入りたい衝動に駆られることもあったが、我慢我慢。職場ではバスケをやっていたスポーツマンで通っていたし。
この名前でよかったのは、初対面の方に名刺を渡した時。(名刺にはちゃんとルビを振ったものがつくられた)大抵『みやはらひろし』とすぐに名前を覚えてもらえた。
営業職の俺にはこれは有利に働いた。まあ、まじめに働いたのは、女装する資金が必要だったからなんだけど。
新入社員としてそつなく仕事をこなし、トラブルも起こさない俺は同僚からも上司からも信頼された。
ある程度の残業はしたが、仕事の後の付き合も、休みの日のお誘いも他社との仕事がらみ以外は断った。どうしても出なくていけないときは渋々出席したが…職場では付き合いの悪い奴と思われていたかもしれないな。
周りが何と言おうと気にしない。会社を出れば、俺の時間。思いっきり女性関係の記事を読み漁る。家に帰って食事をして、メイクやネイル、服装の研究。ボディケアや、ウィッグの手入れも怠らない。
休みの日には女装して、ファッション誌を買い漁り、カフェで読みふける。一人でいると声かけてくる男がいたが「待ち合わせしてるの」とすべて断った。街を歩いて男に声を掛けられてもすべて無視。ナンパされるなんて俺の女装がかなりいい線いってる!いけてる!と優越感に浸る、至福の時。
仕事と趣味メリハリのある生活は充実して心地よい。そんな自分に酔っていたと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます