第48話 可愛いエミリー3

トーマとその愛人が来て一悶着あったらどうしよう…とか考えてた私は、既に別の件で悩んでいる。


ランスロット様に『昔の私』が何をしでかしたのか聞いて、卒倒しそうになった。


私…自分が記憶してる以上に大変な事をしてしまってるわ…。しかも数多く!!

ランスロット様の邸の事が序の口と言うはずよ…。


「そんなに真っ青にならなくても大丈夫だよ。」

「…アレン様。お父様のお友達のお名前をわかる限りでいいので教えてもらえませんか。全員に謝罪しに行きます…。」

「ハハハッ、何も気にする事はない。誰も怒ってる人はいないし感謝してる人もいるんだから。」


そんなはずないわ…。まずヘンリーには大至急会いに行かないと…。


そんな話をしていると邸の前に馬車が止まる音がした。


過去の話を聞かされた上に、愛人問題なんて抱えられないわよ…。


部屋に入ってきたのは、トーマとマイセンさんとミランダの3人。

よかった。何とか間に合ったんだ…。


「アレン様、はじめまして。私はトーマ・ラッセン、ルーナの夫でエミリーの父です。」

「こちらこそはじめまして。ランスロット・アレンだ。私はルーナの亡くなった父親のマックスと懇意にしていてね、これからはルーナとも仲良くしていきたいと思っている。もちろん侯爵とも。」

「有り難うございます。」


ランスロット様!私は一年もせずに農家に弟子入りしますので、そんな男と仲良くする必要はありません!!…なんて言えない。


「そうだ、侯爵の領土では上質の生糸を作っているとか…。今ここで仕事の話は無しにするが、また日を改めて話がしたい。」

「はい、宜しくお願いします。」


トーマとマイセンさんが物凄く嬉しそうだわ。何だか大きな取引が始まりそうで怖い…。


それから30分ほど私達は話をして、ランスロット様は用事があるので帰る事になった。


私とトーマはランスロット様を見送る為に馬車まで付いていく。


「今日は有り難う。楽しかったよ。」

「こちらこそ、またいつでも来て下さいね。次に来る時までには私もエミリーに泣かれないようになってる…はずなので。」

「ふふ、親子ともに成長を見に来るよ。」


1年以内にわたしの成長は見られなくなるのですが…。


「アレン様…お父様のお友達の件…よろしくお願いします。」

「わかったよ。」

馬車に乗り込む前にコソっと言うと、クスクス笑われてしまった。



行きたくはないけど、パーティーとか催しには行かないと駄目だわ。謝るにはそこが1番出会いやすいもの。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

侯爵夫人は子育て要員でした リオ @oimo3takeo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ