第45話 出産祝い3
15時頃、ミランダが本邸に来て私はすぐに相談した。
「ミランダっ!!物凄く待ってたわ!!」
「へ?一体どうしたの?」
「話は部屋でするわ!」
私はミランダの手を引っ張って、急いで部屋に入った。
「ランスロット様が、エミリーに会いたいって!」
「出産祝いを持ってくるって言ってたから、来てもおかしくはないわね。」
「違うの、問題はそこじゃないの…」
「どうしたの、顔が真っ青よ。」
「明日、エミリーに愛人が会いに行くらしいの。」
「嫌なの?」
「会うのは問題ないわ。ただ明日っていうのが問題なの!ランスロット様が来るのも明日なの!」
「あら、それは最高ね。」
さすがミランダ、落ち着いているわ。
「まぁ、面倒な問題は発生しそうね。」
「目立たずに離縁まで過ごしたいのに、何故こんな事に…。」
「そうね。まずランスロット様とルーナのお父様が友人だったのを憶えてなかったのは致命的よね。」
…その通りよ。
花瓶まで奪っておいて…。
「まぁ、あの馬鹿当主が帰ってきたら言えばいいだけの話よ。」
「…帰ってこないの。今日にかぎって仕事なの。」
「毎度毎度、なんて役立たずな男なの…。」
「ミランダ、来てすぐに悪いんだけど、また邸へ帰ってこの事を明日2人に伝えてくれる?」
「…いいけど、明日ランスロット様とルーナが先にエミリーのもとに着いてしまったら、何も知らずに仲良く2人が現れるという可能性もあるわよ。」
そうよ必ずしもあの2人が先にいるかなんてわからない。
「でも、1度帰ってカルラさんやアナに伝えておいて。私はここでランスロット様を迎えるわ。」
「了解。」
「お願いね。」
次の日、13時にランスロット様がラッセン邸に来た。
ものすごく大量の荷物を持った男の人を3人連れて。
「アレン様、お待ちしておりました。」
「やぁ、急に悪いね。」
「いえ、来てくださって嬉しいです。」
「この前は時間がなくて残念だったよ。だが今日はゆっくり話せそうだ。さっそくなんだが、君の子を見せてもらえるかな。」
ランスロット様はとても嬉しそう。ミランダによると、ランスロット夫妻には子が授からず、奥様は病死して今は1人。だから私の子に会うのが楽しみなんじゃないか…って。
「アレン様、エミリーはここから1時間ほどの邸にいるのです。出産直前に体調を崩していたので、落ち着いた環境を選んだんです。今からそこへ案内しますね。」
「そうなのか、ルーナは今は大丈夫なのかい?何かあればすぐに言うんだよ。この国で1番の名医を連れてくるから。」
「ありがとうございます。けど安心してください。少しずつ元気になってますので。」
…名医なんて連れてこられたら困るわ。医師でなくても、女の人なら私が出産後の体つきじゃない…って思う人もいるはずよ。
…今からエミリーに会いにいく。
きっとミランダが何とかしてくれてるよね。昨日話しておいたもの!
…自慢の娘から最低な娘へ転落するか、トーマ達の対応で決まってしまうわ。
何があっても、お父様へのランスロット様の信頼は失いたくない。たとえお父様がこの世にいなかったとしてもよ!
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