第32話 追加2

邸は500メートルもない所なので、私とミランダは歩いて行く事にした。


「女が2人は危ないかな。真っ暗だし…。」


「一本道だし、私が護衛にいてルーナが襲われる事はないわ。」


ミランダは腰にさげてる剣を見せた。


「そうね。」


ミランダが男性なら私は絶対プロポーズしてるわ。

『即刻離縁しますので、私と結婚してください!』ってね。



のんびり歩いて10分ほどで邸に着いた。


ドンドンドンッ


この辺りには人が住んでないようだし、おもいっきりドアをノック…というか、たたいた。


「はい。」


ドアを開けたメイドが私を見て目を真ん丸にしている。

わかりやすい人ね。


「トーマはどこ?」

「ここには来ていません。」

「いてもいなくても構わないわ。ここまで歩いてきて疲れたからお茶を一杯いただけないかしら。」

「あの…それは……」


よっぽど私とミランダを家に入れるなって言われてるのね。


「わかったわ。では主に伝えてくれるかしら。ルーナが足を挫いたので、そこにある馬車に乗って帰るってね。」


馬車に乗ってきて朝帰るつもりみたいだけど、その馬車がなければどうするのか見てみたいわ。


「…っ馬車を引ける者がいませんので!」


必死に食い下がろうとするメイドにミランダがとどめをさした。


「心配しないで、私が引くから。大丈夫よ、王妃殿下の馬車も何度か引いてたし。」

「…ミランダ凄いっ!!」

「まぁね。その辺の御者よりも上手よ。4頭立てでもね。」

「…シュート君が憧れて当然だわ。」

「ルーナ、話がずれてるわよ。」

「あ、そうだったわ。」


でも、どう考えてもミランダの話を聞く方が有意義だわ。


「トーマなんかどうでもいいから帰りましょう。ミランダの話を聞きたいわ。」

「…どうでもよくなったの?」

「ええ。」

「さっきまでの勢いは何処へいったの?」


私達がごちゃごちゃ言ってたのが聞こえたのか、トーマ本人が出てきた。


「ルーナ、話がある。中へ入れ。」

「いえ、もう結構よ。貴方と話してもつまらないと思うので。」

「…つまらない?談笑でもしに来たのか?」


そんな訳ないでしょう。面倒だと言いたいのよ。


「徒歩10分圏内にある邸に娘がいるのに、会いにも来ない薄情者と話が噛み合う訳がないと気がついたのよ。」

「明日、午後から会いにいくつもりだった。」


って何…。


「愛人にはしっかり会いに来るのに、今日は子供に会えないの?その神経疑うわ。貴方もだけど女の方もね。」

「…彼女は関係ない。」

「ではエミリーにも関係ないわね。2度と会いに来ないで。不愉快よ。」

「そんな事をいう権利はない。」


何いってるのかしら、この人。


「マイセンさんが私に言ってくれたわ。エミリーは私の子だと。として子供に悪影響を与える人物には会わせられないわね。」

「……」

「今なら許すわ。明日、その女もエミリーのもとへ連れてきなさい。離縁の話もそこでするから。帰りましょう、ミランダ!」

「そうね。」



スタスタ歩くルーナから少し遅れてミランダは出ていく。


「執事長、藪をつついて蛇がでたようですよ。明日、楽しみですね。」


ミランダは笑いを堪えて言った。

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