第24話 邸にて3
私の部屋の前にはミランダが立っていた。
「ミランダ!離縁できるわっ!」
「そう、とりあえず話は中でしましょう。ここじゃ誰が聞いているかわからないから。」
「確かにそうね。」
ここにどんな人が何人いるか、結婚してすぐに山小屋に連れていかれた私は全くわからないのよね。みんな愛人の味方かもしれないし、怖いわ…。
私の部屋は白を基調にした可愛いお部屋。
ソファーは白にピンクの花柄。クッションもピンク。
「ねぇ、これ誰の好みだと思う?」
「さぁ……」
「まさか愛人が使ってた部屋とかだったりしないよね。」
「…流石にそこまで最低な男ではないと思うけど……多分。」
「だよね。でも、確認するまではベッドは使わないわ…。」
「当然ね。まぁ、それを確認するのは後よ。話を聞かせて。」
「うん。」
窓際にある小さなテーブルと椅子が2つ、そこに腰かけてミランダに報告した。
「契約書を見せたら納得してくれたわ。子供を作る気もないなら、離縁してやるってね。」
「やっぱり、そこが重要ね。子が出来る出来ないじゃなく、欲しいか欲しくないかの温度差は大きいから。」
「うん。それに相手は私に拘る必要はないのよ。離縁してから再婚した女性と子を作ればいいだけの話だもの。」
「そうね。…ところで契約書は?」
「ラッセン家に不利になる事が書かれてないか確認する…って、すぐにサインはもらえなかったの。用紙は1枚だけだし読み終わるのを待とうかとも思ったけど、そこにマイセンさんが来たから1度帰って来たの。」
「…マイセン……」
マイセンという名前を聞いて、ミランダが少し冷たい表情になった。
「ミランダ?どうかした?」
「ん?どうもしないわ。離縁できそうだし喜ばしい限りね。ただ、契約書はすぐに受け取りに行きましょう。相手に無駄に時間を与えないようにね。」
「そうね。後から色々言われたら嫌だもの。」
「なら行くわよ。トーマの部屋へ。今度は私が部屋の外で待っててあげるから。こういう話は勢いが大事なのよ。相手に隙を与えない事。既にルーナのサインは書いてあるんでしょう?双方が目の前でサインしないと。万が一
「そ…そうよね。早く行かないと!」
あの7つの条件は守ってもらわないと、こんな所でずっと子育てなんてしていられないわ。
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