第22話 邸にて1
着いたとたんにトーマ・ラッセンに呼び出された。
「どういうつもりだ?」
…それは全てこちらの台詞よ。
「これにサインして下さい。」
「は?何だこれは…」
「貴方との結婚と子育ての条件です。」
1.子供が産まれてから1年で離縁する事。
2.メイドとして雇用する事。その上で離縁する際に給金を支払う事。
3.ルーナ・ラッセンに指一本触れない事。
4.離縁するまで愛人との子は作らない事。
5.離縁した後は、お互い一切干渉しない事。
6.ミランダを1年間、ルーナ・ラッセンの護衛として側に置く事。
7.会いたい人に会うのを許可する事。
内容を簡単に書いた物と、私のサインを書いた本契約書の2枚をトーマに渡した。
サっと目を通したトーマから一言。
「却下だ。」
「……貴方、よくそんな偉そうに言えるわね。」
ここで1歩でも引いたら相手のペースにのまれる。強気で行かないと!この部屋には2人なんだから戦うなら今しかない!!
「離縁しても侯爵と結婚したい女性は沢山いると思いますので、断る必要はないと思います。」
「……『指一本触れない』…俺との子を作る気はないという事か…。それなら離縁する。この契約条件ものんでやる。」
…今の聞き間違いじゃないよね?
「っやったーー!!あ、1年と書きましたが、必要なくなればいつでも仰って下さい!即出ていきますのでっ!私からのお話は以上です。ラッセン侯爵様からは何かありますか?」
「……」
「この邸で愛人も一緒に暮らしたいという事であれば大歓迎ですよ。でも私が邸にいる間に子を作らないように気をつけて色々してください。」
「…トーマと呼べ」
「…?」
「少なくともここにいる間は俺の妻も演じてもらう。それがこちらの条件だ。」
「安心してください。邸の外では妻のふりはしようと思ってますので。」
こちらも条件を突きつけているのだから仕方ないよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます