第7話 筋肉痛1

夕方、アルフィさんの奥様と息子さんが帰って来たので、紹介してくれた。


「突然押し掛けてすみません。ルーナ・クローズと申します。宜しくお願いします!」


「私はリンダよ。色々事情は聞いたわ。こちらも人手が欲しかったし、気にしないでね。」

「ありがとうございます!」


赤毛が綺麗で背の高いリンダさん。キリッとした目元で少し釣り眉だから、一見きつく感じてしまうけど、満面の笑みで私を迎えてくれた。

リンダさんと一緒に帰って来た息子さんは、髪の色はアルフィさんと同じ黒だけど、目元や表情はリンダさんに似ている。

全く笑っていないし、あまり歓迎はされていないよね。


「お嬢様が畑仕事なんかできるわけねぇし。」

「こら!シュート!こっちでルーナさんに挨拶しなさい!」

「やだね。人んに上がり込んでんのはそっちなんだから、勝手にすればいいだろ。」


そういって、部屋に行ってしまった。

長男くんの厳しいお言葉。

きっと『遊びじゃないんだ』って事を言いたいんだよね。


「シュート君が言う事は最もだと思います。でもアルフィさんに弟子入りを認めて貰えたので、精一杯頑張ります!」

「弟子入り?」

「よくわからんが、弟子になるらしい。」

「もう、その辺は放っておいていいわよ。」

ミランダに笑いながら流されてしまった。

「……」


弟子入りに間違いないと思うのだけど…何だか恥ずかしいわ。



次の日


収穫された木の実を大きさごとに仕分けるお仕事を与えられた。


「ねぇ、ミランダ。これってオレンジ色で売り出されてるのに、青いうちに収穫していいの?」

「うん、これくらいで出荷しないと荷を運んでる間にも熟していくから。」

「そうなんだ。」


食べてる状態が全てじゃなくて、色んな工夫がされてるんだ。きっと植物1種ずつ違うんだわ。


「んな事も知らねぇのに、よく弟子入りとか言えるよな。」

「…シュート、生意気言うんじゃないの。農家の娘じゃないだけで、年齢でいけば6つも上なんだから。」

ミランダの言葉にシュート君が目を丸くした。


「…あんた20才なの?」

「うん…」


もっと老けて見えるのかな。


「ガキみてぇ」


ガキ…、子供って事…だよね。


「体とかちっこくてヒョロヒョロだし。小枝みてぇ。」


…小枝って。私そんな貧相な体型してるのかな。

兄弟子は厳しいわ。


その日1日、仕分け作業で終わった。


「う~ん…1日同じ体勢だと大して重たい物を運んでなくても結構疲れるね。」

「まぁ、明日はゆっくり休むといいわ。」

「え?私は明日も働けるよ。」

「まぁ、明日になればわかるから。」


アルフィさんもリンダさんも、クスクス笑ってるけど、何かあるのかな?



次の日

私はミランダの言ってる事がやっとわかった。


「うぅ~…ミランダ、っ体が痛くて動けない……」

昨日の夜から体が何か変だな…とは思ってたけど…。こんな風になるなんて!


「ただの筋肉痛よ。ルーナは日頃運動してないし、ここではいつもあまり使わないような筋肉も使ってるから、今日1日は痛くてたまらないわよ。下手したら明日もね。」


今日はゆっくり休む事をアルフィ師匠に命じられた。

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