第5話 強盗疑惑2
「じゃあ…強盗だよ?」
「ついに白状したなっ!」
言われた通りにしてみたのに、何て理不尽なのっ!?
「私は強盗じゃなくて、ミランダのお友達なの。」
「……ミランダねぇちゃんの?」
「そう、ミランダねぇちゃんの。」
信じてくれるよね…。
「ウソだ。おまえは弱そうだから、ねぇちゃんの友達なわけない!!」
友達すらも否定っ!?
どうしよう。ものすごく敵意を感じるわ。いきなり強盗だし。
「シトロンにいちゃん、誰か来たの?」
「メレブ、お前はあぶないから来るな!ウソつきのごうとうが来た。」
「…うん」
『嘘つきの強盗…』ランクアップしてるじゃない。
仕方ない。ミランダが来るのを待とう…。
…それから10分
ミランダが帰ってこないわ。どうしよう…。この男の子、まだ私の事見張ってるし。丸くて大きな茶色の瞳、そんな可愛い目から送られる視線はかなり冷たいわ。
「ごうとうは早くかえれ!!」
どうしよう!
ミランダの走っていった方に行こうか迷っていると、後ろから声をかけられた。
「あんた、こんなとこで何やってんだ?迷子か何か?」
振り返ると、長身でガッチリした体型の黒髪の男性がいた。
「いえ!違います。」
「父ちゃん!!ごうとうが来たんだ。ミランダねぇちゃんの友達とかウソついてるんだぞ。」
「強盗?」
「違います!私はミランダさんの友達のルーナと申します。」
この子のお父さんって事は、ミランダのお兄さんって事だよね。たしかに、言われてみれば似てるかも。髪も瞳も同じ色だし。
「……ミランダの友達?」
「はい。」
何だか、お兄さんにも怪しまれてる気がする。
「あんた、どこのお嬢様だ?」
「えっっ!?」
「どう見てもどこかの金持ちのお嬢様だろ。」
「あ…え…?」
ミランダは『この格好なら大丈夫、バレない』と言って服を選んでくれたのに、何か間違えたの!?
「…ちょっとどこ行ってたのよ…。畑にいないから探したわ。」
「あ!ミランダねぇちゃんっ!」
「シトロン、久しぶり。元気してた?」
「おう!」
「ミランダ、お前何しに来た。」
「それが実家に帰って来た妹への第一声なの?」
「俺より強い女を妹だとは認めない。」
「私より弱い男を兄と認めないけどね。」
どうしよう…。
話に入っていけなくてオロオロしてる私にミランダがやっと気がついてくれた。
「あ、そうそう、こちらルーナ・クローズ。今日から2ヶ月ほど私と彼女の2人をはなれに住まわせてくれる?畑仕事は手伝うわ。」
私は『ラッセン』を名乗るのはリスクが高いから『ルーナ・クローズ』と名乗る事にしている。
ラッセン侯爵の領地じゃないけど、油断は禁物だしね。
「ルーナ・クローズと申します。ここにいる間、一生懸命働きますので、ご指導のほど宜しくお願いします!!」
「ルーナさん…、あんた畑仕事するつもりで来たのか?」
「はいっ!!よろしくお願いしますっ!!」
「……」
私の様子を見て、お兄さんに呆れられた。
やっぱり、そうなるよね。
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