第22話 プロローグ

 わたしはモテたことがない。

 理由は簡単で、身長が高いからだ。

 幼い頃から大きかったが、高校生となった今では、百八十センチを超えてしまった。

 女の子でこの身長は、ちょっと――というか、だいぶ大きい。

 クラスメイトの女の子の誰と歩いても、頭一つぶん飛び出ているし、全校集会ですぐに発見される。


 そんなでは、男の子など、寄り付くはずもない。

 なぜならば、男の子はみんな、守ってあげたくなるような、ちいさくて可愛い女の子が好きだからだ。


 だから、わたしはモテたことがない。

 しかし、かといって恋愛感情がないかというと、そうではない。

 というか、その手のドラマはよく見るし、少女漫画だってよく読むし、ぶっちゃけ憧れている。

 だけど恋愛というのは、一人で出来るものでもないし、相手がいないのでは、いったいどーすりゃいいのだ。


 それは確かに、今現在だって、気になる男の子はいる。

 おなじ学年の、とても小さな背丈の、マスコットみたいな男の子だ。

 まだ名前も知らないのだが、彼はとても可愛く、まるで小動物のようで、目を離せないのだ。

 人間とは自分の欠点を補った異性を好きになるのだそうで、彼の小さくて可愛らしいところをわたしは持ってないので、だからきっと気になるのだろう。


 だけど、この恋も多分、実らない。

 なぜなら、わたしはモテたことがない。


 女の子にしてはだいぶ身体が大きくて、男の子は小さくて可愛い女の子が好きなので、この恋も多分、実らない。


 ああ、もっと小さく生まれてたらなと、わたしは思う。

 せめて百六十センチ――いや、百七十センチくらいならまだ、可能性もあっただろうに。



 ああ、もっと小さく生まれてたらなと、わたしは思う。


 家族全員平均値の身長を出ないのに、なんでわたしだけ、こんなに巨大になったのだろう。




 牛乳が大好きで、毎日1リットル飲んでいたのが悪かったのか、それとも――。






 ぼくはモテたことがない。

 理由は簡単で、身長が低いからだ。

 幼い頃から小さかったが、高校生となった今でも、百五十センチほどしかない。

 男の子でこの身長は、ちょっと――というか、だいぶ小さい。

 クラスメイトの男の子の誰と歩いても、頭一つぶんへこんでいるし、全校集会では埋没してしまう。


 そんなでは、女の子など、寄り付くはずもない。

 なぜならば、女の子はみんな、頼りがいのある、大きくて格好のいい男の子が好きだからだ。


 だから、ぼくはモテたことがない。

 しかし、かといって恋愛感情がないかというと、そうではない。

 というか、その手のドラマはよく見るし、ラブコメ漫画だってよく読むし、ぶっちゃけ憧れている。

 だけど恋愛というのは、一人で出来るものでもないし、相手がいないのでは、いったいどーすりゃいいのだ。


 それは確かに、今現在だって、気になる女の子はいる。

 おなじ学年の、とても大きな背丈の、バレー選手みたいな女の子だ。

 まだ名前も知らないのだが、彼女はとても格好がよく、まるで猛禽類のようで、目を奪われるのだ。

 人間とは、自分の欠点を補った異性を好きになるのだそうで、彼女の大きくて格好のいいところをぼくは持ってないので、だからきっと気になるのだろう。


 だけど、この恋も多分、実らない。

 なぜなら、ぼくはモテたことがない。


 男の子にしてはだいぶ体が小さくて、女の子は大きくて格好のいい男の子が好きなので、この恋も多分、実らない。


 ああ、もっと大きく生まれてたらなと、ぼくは思う。

 せめて百七十センチ――いや、百六十センチくらいならまだ、可能性もあっただろうに。



 ああ、もっと大きく生まれてたらなと、ぼくは思う。


 家族全員平均値の身長はあるのに、なんでぼくだけ、こんなに微小になったのだろう。




 牛乳が大嫌いで、給食のも残していたのが悪かったのか、それとも――。






 そんな二人が出会うまで、あと、もうすこし。

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