第19話 日常

 わたしの日常は変哲もない。






 朝、目覚まし時計に叩き起こされ、学校に行く。


 眠気をかみ殺し、ノートにミミズのような字を這わせ、午前中の授業をやり過ごす。


 昼休み、仲の良い子たちと他愛ない話をしながら、お弁当を食べる。


 午後の授業は、放課後遊びに行くことしか頭になく、やはり気もそぞろだ。


 学校が終わり、やはり仲の良い子たちと、わたしは街に出る。


 陽が暮れるまで遊び、さんざん散財して、やっと帰路に就く。


 家に帰れば、夕飯まで自室のベッドの上に寝転がり、まどろむ。


 夕飯は大抵好物で、おかわりまでしてしまって、結局体重を気にする。


 夜更けまでにはお風呂に入り、話題のドラマを見ながら、美容マッサージなどを施す。


 日付の変わるころ、母親にせかされるようにベッドに入り、眠る。






 今日もまた、たくさんの人たちが戦争で死んだそうだ。



 平和な国で安寧を享受して、足元に渦巻いたもののどす黒さに、誰が気付くというのだろうか。




 今日もまた、たくさんの人たちが戦争で死んだそうだ。






 わたしの日常は変哲もない。


 朝、目覚まし時計に叩き起こされ、あわただしく学校に行く。


 わたしの日常は変哲もない。


 日付の変わるころ、母親にせかされるようにベッドに入り、眠る。




 わたしたちの日常は、なんの変哲もない。

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