私のフィアンセがカッコ良すぎる!

マキシム

第1話

※【俺の許嫁が可愛すぎる】に登場するフィーネ・オルテンブルク視点です


皆様、ごきげんよう。私の名はフィーネ・オルテンブルクと申します、趣味はレオン様の観察・・・・ゴホンゴホンゴホン、失礼しました。私は王室に連なる名門貴族オルテンブルク公爵家の令嬢として生を受けました。そんな私にはフィアンセがおります。名はレオン・アルタイル、アルタイル公爵家の令息で私の幼馴染みです。この御方は幼い頃から優れた才覚を持っているのですが怠け癖があり、よくお稽古をサボったり、昼寝する事も日常茶飯事でした。私としては幼馴染みであり婚約を結んだ間柄ですので色々と苦労をしました


「ありがとな、フィーネ。」


「お前の作ったクッキー、毎日食べたいな。」


「今日もドレス、似合ってるぜ♪惚れ直しそうなくらい綺麗だ!」


「やっぱ俺、お前の事が大好きだ♡」


「流石、俺の嫁!」


何ですか!この御方は!私への思いが真っ直ぐすぎて思わず倒れそうになってしまいます!初めて御会いした時からお慕いしているのに、そんなこと言われたら余計、好きになってしまいます♡


「本当にだらしのない御方(今日のレオン様は素敵ですわ♡)」


「素直じゃないお前も可愛いぜ♪」


「・・・・バカ(照)」


お互いの両親から良き婿・嫁を迎えたと喜んでおりました、私もそう思います・・・・


「御嬢様、今日の御予定は?」


「レオン様の下へ参ります。あの御方は放っておくとすぐに怠けますから。」


「承知しました。」


私は馬車に乗り、レオン様が利用する憩いの場へ向かいました。レオン様の行動は逐一確認しており、どこにいるかも確認済みです。勘違いはしないでください、私はただレオン様がいつも怠けるので監視をしているだけです。もしレオン様に女の影があったら徹底的に女を排除します、ついでにレオン様を監禁し、ずっと私が御世話します。誰ですか!今、私をストーカーとかヤンデレとか言った御方は!


「御嬢様、到着致しました。」


「御苦労。」


私はレオン様がよく向かう憩いの場に到着しました。私は辺りを散策するとそこにレオン様と一人の令嬢を目にした


「誰ですか、あの女狐は・・・・」


どこの馬の骨かも分からない令嬢がレオン様と話をしている。レオン様もレオン様です、私という者がありながら他の女と浮気なんて。そんな私の様子を見たお付きの者がレオン様の様子を確認すると願い出た


「ええ、行ってきなさい。」


「畏まりました。」


お付きの者がレオン様と女狐の様子を気配もなく近付いく。私は草むらに隠れ、事の成り行きを見守ることとした。お付きの者が私の下へ戻り、2人の会話を報告した


「御嬢様、レオン様は浮気はしておりません。」


「続けなさい(信じておりましたわ、レオン様♡)」


「レオン様は御嬢様のお誕生日に何をプレゼントをすればよいか、ご令嬢に尋ねたようです。」


「わ、私の誕生日プレゼント。」


「はい、女の子が喜ぶものは何かとしきりと聞いておりました。」


私の誕生日を覚えてくれたんですか!私は何とはしたない事を考えていたのでしょう、過去の自分を引っ叩きたい気分ですわ


「ん、おお、フィーネ!」


「れ、レオン様。」


レオン様と例の令嬢がこちらに気付き、私たちの下へ駆け寄ってきました。取り敢えず言い訳を考えつつ、2人と対応する事にした


「こ、ごきげんよう。レオン様、それと・・・・」


「ごきげんよう、フィーネ様!」


「貴方はシャルロット嬢?」


私たちの通う学園の後輩であり、ブレント侯爵家の令嬢であるシャルロット・ブレント【金髪ロング、色白碧眼、彫りの深い顔立ちの美少女】ですわ


「フィーネ、お前こそどうしたんだ、こんなところで?」


「貴方がサボっていないか確認をしにここへ参りました。」


「そうか?あぁ、そうだ。フィーネは来週、誕生日だろ。シャルロット嬢にプレゼントは何がいいか相談してたんだ。」


「そ、そうなのですか、シャルロット嬢。」


「はい、フィーネ様に相応しいものは何が良いか一緒に考えておりました。」


「そ、そうでしたの。」


「来週、楽しみにしてくれ♪」


「え、ええ。」


「フィーネ様。」


「何ですか?」


シャルロット嬢は私に近付き、耳元で「お熱いですわね、フィーネ様」と呟き、私は思わず赤面してしまった


「フィーネ、どうした。顔真っ赤だぞ?」


「殿方には内緒ですわ。ねぇ、フィーネ様。」


「そ、そうですわ。レオン様は無粋過ぎますわ!」


「ん、そうか。まぁ、楽しみにしていてくれ。」


「だそうですわ、フィーネ様(^_-)」


「た、楽しみにしてますわ(レオン様のプレゼントだったらいくらでも欲しいですわ♡)」


そんなこんなでレオン様との日々が続きました。今日もいつものようにレオン様の下へ行き、たんの・・・じゃなくて注意をしました


「レオン様、何をほうけた顔をしているのですか?(だらけているレオン様もいいですわ♡)」


「ん、ああ、フィーネか。」


「フィーネか、じゃありませんわ。アルタイル公爵家の嫡男ともあろう御方がこのような所でだらけている場合ですか。(レオン様、レオン様♡)」


「俺は基本、怠け者だから怠けてるだけだ。」


「はあ~、全く貴方って人は。(母性本能を刺激しますわ♡)」


「お前も俺同様、肩の力抜いて気楽にいこうぜ。いつものように淑女の鑑を貫くと息がつまるぞ。」


「大きなお世話ですわ。(私ったら何て事を!)」


「可愛げのない奴。」


「怠け者の貴方には言われたくありません。(私のバカ!)」


「はあ~、見た目がいいのにな。俺的には断然、好みだけど。」


「な、何を言い出すのですか、貴方は!(もっと聞かせてくださいまし♡)」


「だって本当の事だもん。今でもお前の事、大好きだし。」


「そ、そ、そういう事は滅多に言うものではありません!そ、そういう事はちゃんと順序をもって・・・・(小声)(もう死んでも構いませんわ♡)」


「フィーネ、そろそろ行くぞ。」


「な、何ですか、急に!(私の手を!)」


「人目が増えてきたから、この場を離れるんだよ。」


私は辺りを見渡すと他のクラスメイトたちが私たちをニヤニヤしながら見ているではありませんか!思わず顔から火が出るくらい恥ずかしいですわ


「羨ましいですわ。」


「何だかんだ言ってお似合いだよな、あの2人。」


「双方の御両親も良き婿、良き嫁を迎えたと鼻高々でしたわね。」


「ふふふ、本当に。」


「リア充、爆発しろ。」


「なんであんな奴が許嫁なんだ。」


クラスメイトたちが私たちをからかったり、羨望と嫉妬の眼差しで見たりしました。最後の御方は後で血祭りにあげるとして私たちはその場を退散しました


「だとさ。」


「無視です、無視!(ふふふふふふ♡)」


そんなある日、私の下へある噂が舞い込んできた。何と私が転校生の私物を壊したというではありませんか。何故、私が会ったこともない転校生の私物を壊さなければいけないのですか! そんな私を気遣って友人たちが励ましてくれました


「フィーネ様、気にする必要はございませんわ。」


「そうですわ、フィーネ様への妬み嫉みである事ない事を言い立てているのですわ。」


「事件が起きた日はフィーネ様とレオン様、私たちはテラスに一緒にいましたからアリバイが成立しますわ。」


「相手方の事を調べて抗議文を出しましょう!」


「ありがとうございます、皆様。」


私は例の転校生について調べる事にした。隠密の知らせによると転校生の名はモルゼン子爵家のミリア・モルゼンという令嬢だという事が判明致しました。父親はモルゼン子爵、母親は元平民で今はモルゼン子爵の後妻として貴族になった事が分かりました。更に私とは縁のない伯爵以下の令息に私が私物を壊したといいふらし令息たちもそれを信じて私を断罪しようとする始末・・・・


「何と浅はかな事を・・・・転校生もろとも地獄を見せて差し上げますわ。」


そんなある日、私はレオン様に誘われて人目のつかない場所へ行く事になりますわ。何事かと思いましたが、どうやらレオン様も例の噂を聞いたようで真偽を確かめにここへ連れてきたのです。まさかレオン様は私を疑っているのかと思うと胸が張り裂けそうです


「という噂を耳にしたんだが?」


「レオン様、まさか貴方まで私がそのような事をしたと疑っているのですか!(レオン様、私はやっておりません。信じてください!)」


「いいや、お前はずっと俺と一緒にいるからそんな事する暇なんてない筈だぞ。それに淑女の鑑と呼ばれたお前が自分で自分の首を絞めるような事をするとは思えないんだもの。」


「・・・・ありがとうございます。(ありがとうございます、レオン様。)」


「噂の出所を調べたんだが、どうやらモルゼン子爵家のミリア・モルゼンという令嬢が言い出したらしい。」


レオン様もミリア・モルゼンについて調べていたらしく、今回の事件もミリア・モルゼンの自作自演の可能性があると踏んでいるとの事。流石はレオン様、そこに気付くとは・・・・


「それでお前はどうしたい?」


「決まっています、お父様に事の経緯を説明し抗議文を出させていただきます!」


「うん、確かに悪くない考えだ。その前に叔父上に話を付けないとな。」


「学園長先生に?」


レオン様の叔父にあたる学園長先生に例の噂を報告し、私たちにアリバイがある事や後ろ盾を得る意味で味方をつけるという話である。流石はレオン様、私もそこまでは考えておりませんわ!


「よし、そうと決まれば会いに行くぞ!」


「ちょっと、待ってください!」


私たちは学園長室を尋ねた。学園長先生は私たちの訪問に驚きつつ、例の噂の事や私は関わっていない事を報告すると学園長先生は私たちの話を信じ、私に同情してくれました


「そうか、フィーネ嬢も災難だったな。」


「・・・・はい。」


「まぁ、幸いその日は俺とフィーネは友人たちとテラスにいましたからアリバイは成立しますよ。」


「うむ、私も噂は聞いていた。淑女の鑑と呼ばれたフィーネ嬢がそのような事をするとは思えなかったからな。こちらでも調べようと思っていたところだ。」


「叔父上、俺もフィーネが濡れ衣を着せられるのを黙って見ていられないんですよ。俺も両親に頼んでモルゼン子爵家に抗議文を出すよう説得します。」


「普段、怠け者のお前がこういう時に限って真面目になるとは皮肉なものだ。」


「俺は能ある鷹は爪を隠すタイプだもん♪」


「「威張るな(威張らないでください)」」


レオン様のきりっとした顔つきと私を守るという意志の強さに益々、惚れ直してしまいますわ!私の心中は今にも爆発しそうな思いを最大限の理性で抑えつつ、レオン様は次のように述べた


「叔父上、急な事ですが早退しても良いですか。」


「何だ、突然。」


「この事を父上とフィーネのお父上に知らせなければいけません、事が事だけに。」


「本来は学生は学業に励むのだが今回ばかりはそうも言ってられん。私の権限でお前とフィーネ嬢は早退とする。」


「よろしいのですか、学園長先生!」


「あぁ、解決するのは早い方がいいだろう。担任には私から伝えておくよ。」


「「ありがとうございます!」」


学園長先生の許可を得た後、私とレオン様のお父様が勤務する内務省へ足を運んだ。私の父とレオン様の父は重鎮といえる立場におり、国王陛下から一目も二目も置かれております。私たちが尋ねてきた時は御二方は驚いていましたが理由を説明すると私たちを客間へ連れていき、話を聞いてくれました


「レオン、それは本当か?」


「父上、俺もフィーネも嘘を言うためにわざわざ内務省に訪れたりしませんよ。」


「お父様、アルタイル公爵閣下、私もレオン様も学園長先生から早退の許可を得て参りました。」


「アルタイル殿、2人の申す事が本当であれば由々しき事ですぞ。」


「確かに。」


「俺もフィーネもモルゼン子爵令嬢とは全く接点もないし会うにしてもすれ違う程度です。それに事件が起きた日は俺もフィーネも友人たちと一緒にテラスにいましたからアリバイも成立します。」


「うむ。」


「お父様、モルゼン子爵家はオルテンブルク公爵家に喧嘩を売ったのです。これを放置するわけにはいきません!」


「その点については俺も同じです。俺の婚約者であるフィーネに濡れ衣を着せるという事はアルタイル公爵家にも喧嘩を売ったも同然です!」


「そうか・・・・分かった。すぐにでもモルゼン子爵家に抗議文を出そう。」


「フィーネ、レオン殿、後は私たちに任せなさい。」


「「ありがとうございます、父上(お父様)」」


抗議文はすぐにモルゼン子爵家に送られてから翌日の日にはミリア・モルゼンは病気のため休学になりました。私もレオン様も安堵しつつ、一緒に昼食を食べるべく食堂へ向かうと・・・・


「フィーネ・オルテンブルク、ミリア・モルゼン子爵令嬢に度重なる嫌がらせをした罪をこの場にて断罪する!」


私とした事がすっかり忘れていましたわ。ミリア・モルゼンの妄言を真に受けたお花畑の方々に私は溜め息をつきそうになりました。レオン様も呆れた目で令息たちを見た後、「俺に任せろ」と私に声をかけ、令息たちの相手をし始めました


「・・・・君たちさぁ、自分達が何を言っているのか理解してるのか?」


「ふん、公爵の名を欲しいままに好き勝手行い、あまつさえモルゼン子爵令嬢を休学に追い込んだ張本人に天誅を加えに来たんだ!」


「証拠はあるのか?」


「モルゼン子爵令嬢が僕たちに泣きついたんだ!」


「・・・・それだけか?」


「まだあるぞ、目撃者もいるんだ!」


「ほぉ~、目撃者ね・・・それでその目撃者はどこにいる?」


「い、今は病欠だ!」


「病欠とは・・・・君たちは実際に見たのか、フィーネがモルゼン子爵令嬢の私物を壊すのを。」


「み、見るわけないだろう!僕たちはモルゼン子爵令嬢から聞いたんだから!」


「そのモルゼン子爵令嬢が嘘を言っていたらどうするつもりだ?」


「う、嘘だと!」


「そうだとも。もし嘘をつき、フィーネに濡れ衣を着せるとなれば、モルゼン子爵家はタダでは済まされないぞ。現に学園長先生も例の噂を聞いて動き出したんだからな。」


学園長先生の名を聞いた途端、令息たちの表情が青ざめ、それを逃さずレオン様は令息たちに事実を述べました


「因みに事件が起きた日は俺とフィーネは友人たちとテラスで談笑していた。勿論目撃者は多数いる。」


レオン様はそう言うと私たちの友人たちが続々と名乗りを上げて、アリバイを証明し始めました。勿論、目撃者も多数おり令息たちはあっという間に追い詰められました。そしてレオン様のとどめの一言で決着が着きました


「それとモルゼン子爵令嬢が休学となったのは俺とフィーネの実家が此度の事を見過ごす事が出来ぬゆえ、モルゼン子爵家に抗議文を送ったからだ。」


それを聞いた令息たちはすぐさま、土下座をし涙目で謝罪をしました


「申し訳ございませんでした!」


「「「「「大変御無礼致しました!」」」」」


「君たちさ、御免で済んだら騎士団はいらないよ。それにさ、君たちはモルゼン子爵令嬢の口車に乗ってフィーネを糾弾した事、許すつもりはないからね。」


「お、御待ちください!僕たちはモルゼン子爵令嬢に騙されたんです!」


「だから何だ。フィーネに喧嘩を売ったという事は婚約者である俺にも喧嘩を売ったも同然なんだよ。ましてや伯爵家と子爵家と男爵家が公爵家に喧嘩を売ったとなればどうなるか君たちにも分かるよね。」


「ど、どうか御慈悲を!」


「俺もフィーネもモルゼン子爵令嬢と君たちの蛮行を許すつもりはない。精々、荷物を纏める準備だけはしといた方がいいぞ。」


令息たちは見苦しいほどに「自分たちは悪くない」とか、「モルゼン子爵令嬢に騙された」と申しておりましたが私を敵に回した時点で令息の運命は決まっておりますのよ。私の思っている事はレオン様が代弁してくれた事に胸がスカッとしました。勿論、今回の件もお父様とレオン様のお父様に報告し、令息たちの実家に抗議文を出す事にしました。令息たちの親は私たちの家に尋ね、息子の愚行を謝罪し勘当する事や慰謝料を支払う旨を伝えに参りました。それだけならいいのですが今回の事が発覚し令息たちの婚約者の実家から婚約解消と慰謝料を請求され、令息たちの実家は没落しました。令息たちは借金返済のために母親以上の貴族夫人たちの男娼として生活する事になりましたが自業自得ですわ


「モルゼン子爵家からの謝罪がないのが気に入りませんわ。」


あれからモルゼン子爵家から謝罪の言葉が一切なく、かといって社交界にも顔を出さず、かえって不気味でした。あれから1週間が経ち、モルゼン子爵は親族に爵位を譲った後、前妻であった子爵夫人の墓の前で自害した事、残された夫人とミリア・モルゼンは奴隷として売られたと報告を受け、結局謝罪もないまま消えていきました


「本当に何がしたかったのかしら。」


その後の私とレオン様はというと学園を無事に卒業し、すぐに結婚式をあげました。多くの方々から祝福を受け私は幸せの絶頂にいました


「結局、俺たちずっと一緒だな。」


「そうですわね。」


「俺のような怠け者の旦那を持って後悔しているか?」


「ふん、何を言うのかと思えば・・・」


「本気で言ってるんだぞ。」


「怠け者の貴方が私の事を守ってくれたんですもの、後悔するわけがないではありませんか。」


「やけに素直じゃないか。」


「ふっ、今日だけは素直になりますわ。」


「今日だけかよ。」


「ふふふ。」


歳月が経ち、私とレオン様との間に2男2女の子宝に恵まれ、幸せに暮らしましたとさ・・・・


「めでたし、めでたしってか。」


「調子にのらないでください。」


「素直じゃないお前も可愛いぞ。」


「・・・・バカ(ずっとお慕いしておりますわ、旦那様♡)」


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