第10話 初ボス、ゴブリンジェネラル!

「さて…これどうしよう」


「…どうしますかね」


俺たちの目の前には一見すると豚肉のように思える肉塊がある。


しかし実際は魔物の肉だとも思われるものだ。


「…うん、とりあえず冷凍庫にしまっておこう」


「それがいいですね」


というわけでこの推定オーク肉は冷凍庫の奥に封印されることが決まった。


よし、問題を先お送りにするよいう手段で解決したところで。


「さて春樹、まだ問題が残っている」


「はい、樹姉さんの言う変なおじさん?との連絡手段ですね!」


そうなのだ、レベル10になったのはいいものの、あの変なおっさんとの連絡手段がないのである。


「困ったな」


「とりあえず明日になったら迷宮にはいってみるというのはどうでしょうか」


「ふうむ」


「その方はもしかしたらこちらの動きを察知できる手段があるのかもしれませんし」


「それはそれで怖いが…うん、じゃあ取り敢えずその案で行こう」




ということで翌日、


俺たちはいつもの装備で階段を下りていた


「そういえばその方、どのような方なんですか」


「そのまんま胡散臭いおっさんて感じだな」


「へー」


そんな会話をしながら階段を下りてダンジョン一層に着くと


「よう、お嬢ちゃん、まさかレベル10になるとはね」


出た、変なおっさん。


「あんたは相変わらず胡散臭そうなおっさんだな」


「だから僕はまだ…ん?後ろの子は何だい」


「ああ、探索仲間だな」


「随分と若いが…ほう、エンチャントのスキルか、なかなかにバランスのいいタッグじゃないか、…相応の腕があればね」


おっさんは感心したよう言う。


「春樹です」


春樹がおっさんに自己紹介する…そいえば俺はおっさんに名乗ってなかったな、まあ、いいか


「で、レベル10になったら情報をくれるんだろ?」


「ああ、と言いたいところだけどごめんね、まだやってもらいたいことがあるんだよ」


やってもらいたいこと、なんだろうか


「…約束と違うな」


「ごめん、言ってなかった」


…このおっさん、適当すぎる


「…まあいい、それでなにをやればいいんだ?」


「この階層のボスを討伐してほしい。討伐できたら約束を果たそう」


この階層のボスねぇ、つまりは


「最終試験、いうわけか」


「…そういう認識で問題ない」


俺は少し考え


「わかった、やってやる」


迷いなく頷いた。


「ほう?迷いがないのはいいね」


そりゃあ、男に戻るためならば、な


「ちなみに春樹を連れて行っても?」


「…いいけどボス部屋は一度入ったら倒すまで出られないよ、無論外部からも侵入できない」


なんだその鬼畜な仕様は、恐ろしすぎる。


「…俺一人でいくかな」


「樹姉さん!」


春樹が声を上げる、どうやら納得できないようだ。困ったな


「春樹、今の話聞いていただろ、一度入ったら出られないらしいのだぞ」


「ぼくもダンジョン探索者です!覚悟はできています!」


うーむ、どうしよ


「ふむ、じゃあこれをあげるよ」


といっておっさんは俺の前に白い羽を突き出した


「…これは?」


「これは「戻りの羽」と言ってね。ダンジョン内のどこからだろうと、これを手に持って、帰りたいと願えば使用者を入り口まで帰してくれるアイテムだよ。消耗品だけどね」


某RPGのキ〇ラの翼みたいなものか。便利な物もあるもんだなぁ。


「もらっていいのか?」


「ああ、その子に持たせれば万が一でも多分大丈夫だろう」


「…僕が持つんですか?樹姉さんではなく?」


「ああ、お前が持て」


「…はい、わかりました」


春樹が渋々ながらうなずく


よし、これで春樹の安全を確保できたな


「じゃあ、おっさん、そのボス部屋まで案内してよ」


「いいよ、ついてきて」


おっさんが通路の方へ歩き出す。そのあとを俺たちは追った。










「ここが、ボス部屋…」


「扉がすごく、大きいですね…」


ボス部屋の前で俺たちはボス部屋の扉の大きさに圧倒されていた。


「お嬢ちゃん、ボスについて説明するよ」


「教えてくれるのか?」


「初ボスだしね、次からは自分で情報を集めるといい」


ダンジョンの情報なんてどこで…まあそれも後で教えてもらえるのかな。


「出てくるボスはゴブリンジェネラル、まあちょっと強いゴブリンというだけだね」


なんか楽勝そう


「でも油断しちゃだめだよ、奴はボス部屋に魔物を呼びつけることがあるんだ。大抵は弱い魔物だけどね」


「大抵ということは…」


「ああ、ごくまれにとんでもない魔物を呼び寄せることがあるんだ」


「とんでもない魔物…」


なんだ、その初見殺しは、というかフラグかな?


「まあ本当にごくまれにだから気にしなくてもいいと思うよ」


「そうかよ」


「樹姉さん…そろそろ行きませんか?」


春樹はやる気満々みたいだ、…空回りしないことを祈ろう。


「じゃあ、おっさん、いってくる」


「ああ、頑張ってね」


おっさんが軽い調子でそう返してくる。


俺たち二人がボス部屋の大きな扉の前に立つと、扉が音を立てて開き始めた。これ何を動力源にしているのだろうか


俺たちは無言で扉をくぐりボス部屋へ入った。










「ず、随分と広いですね」


「…そうだな」


ボス部屋はかなりの広さがあった。ドーム球場くらいありそうだ。


その中央にぽつんと少し大きめのゴブリンがいた。


…ここまで広い意味ないじゃん。


「あれがゴブリンジェネラルですか…」


「そうだな、ほんとにちょっと大きいだけのゴブリンだな」


「…油断は禁物ですよ」


「わかってる、仲間を呼ぶらしいし一気に決めるか」


仲間を呼ばれる前にやる、先手必勝、一撃必殺だ


「春樹!」


「はい!フィジカルブースト!」


フィジカルブーストをかけられたことにより体から力が湧き出てくる。


「よし、うおおおお」


俺は地面を蹴って一目散にゴブリンジェネラルの方へ向かう


「ギャ!」


ゴブリンジェネラルがこちらに気が付き


「ギャアアアアアアアアアアアアッ!」


絶叫を上げた


…?何してんだ、まあいいや、そのままシャベルの錆となれ。


俺はそのままゴブリンジェネラルに突撃、奴の腹にシャベルを思いっきりたたきつける


「グギャ」


ゴブリンジェネラルはおれの攻撃をもろにくらい、吹っ飛んでいった。


そして地面にうつぶせに倒れる。


…いや弱!オークのがまだ強かったよ


「どうでしたか?」


春樹がこちらに近づきながら声をかけてくる


「ああ、たいしたこと…」


俺がそう返そうとした時。




―パチパチ




「うん、素晴らしいですね」


拍手とともに突然女の声がした


ッ!?


俺が慌てて声のした方を振り返ると


そこには


黒い仮面で顔を覆った、髪をサイドテールでまとめた、中学か高校の制服と思われるものを身にまとった女が立っていた。


…魔物というか怪しい人間?が来たんだけど、どゆこと


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