リベンジ 5

 目印の場所にはすぐにつくことができた。

おじさんが言うとおり、せまい道がある……みたい。

ほんとにせまくて、田んぼのあぜ道くらいの幅しかない。

両側には木が生えていて陽射しをさえぎってくれるから涼しいんだけど、あのおじさんに教えてもらわなかったら、歩いてても気づかなかったと思う。

木の下には雑草がしげってて、どんな木がどこに生えてるかもわからなかった。

おばあちゃんが戻ってくるのを待とうと、ぼくは地面に座った。

(おばあちゃん、まだかな?)

座ったまま車が来るはずの方向を見た。

「あれ?これなに?」

雑草のあいだに木の棒のようなものが立っているのが見えた。

立ち上がって草をかき分けてみると、あまり大きくない看板のようなものが立っていた。

「なんて書いてあるんだろう?」

 

 なにか文字が書いてあるけれど、消えかかってて読めなかった。

(おばあちゃんなら、読めるかな?)座りなおしてそう考えた時、僕の前に車が停まって声がした。

悠斗はると!どうしたの?こんなところに座り込んで。気分でも悪くなったの?」

窓を開けた車の中からおばあちゃんが叫んでいた。

「あ、おばあちゃん」

「あ、おばあちゃんじゃないわよ。どうしたの?こんなとこで座るなんて。体調が悪くなったの?」

「ううん、体調は大丈夫だよ。それより、入口が見つかったよ、ほらここ」

ぼくは、立ち上がっておじさんに教えてもらった小道を指さした。

 

 「ここ?ほんとに?」

車を停めて下りてきたおばあちゃんが疑わしそうに言った。

「うん。さっき畑で仕事してたおじさんが教えてくれたんだ。散歩してるのか?って聞かれたからトンネルか洞窟への道を探してるって言ったの。そしたら、おじさんが子供のころに遊んでた場所だろうって、入口を教えてくれたの」

「疑うわけじゃないけど、ほんとにここが道なの?」

「一本道だけど、山道だから気をつけろって言ってた。あとね」

ぼくは草をかき分けて、さっき見つけた看板をおばあちゃんに見せた。

「ほら、こんな看板もあったんだよ。古くて字が消えかけててよく見えないけど。これ、なんて書いてあるの?」

「あら、立て札が立っていたの。でも文字がほとんど消えてるわね。多分、3文字……最後の文字は『洞』のような気もするけど。仕方がないわね。他に道らしいものは見当たらなかったから、この場所に賭けてみましょ。ここが入口だとしたら……このスペースに停めるしかないわね。でも場所が確認できてよかった。ぶっつけ本番だったら見つけられなかったと思うし。あら、もうこんな時間。早く帰らないと悠斗が帰るのが遅くなっちゃうわ」

車に乗り込んだおばあちゃんは車のエンジンをかけ、カーナビに現在地を位置登録していた。

「こんどは、迷わずに来れるわよ」

帰る途中、さっきのおじさんの姿を探したけれど見つけられなかったので、おばあちゃんにそう言った。

「もう夕方だから、用事を済ませて帰られたんじゃない?今度来た時、会えたらお礼言いましょう」

 


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