リベンジ

 山のわき水では、天狗さんの右手を見つけることができなかった。

そのあとの水遊びは、とっても楽しかったけれど。

あのあと、隆之介りゅうのすけもおばあちゃんもそれぞれできる限りの方法でわき水がありそうなところを調べてくれたんだけど、なかなか“ここ!”という場所が見つからなかった。

夏休みも、もうちょっとしたら終わってしまう。

宿題は、自慢じゃないけどほとんど終わっていた。

去年までだったら(もうちょっと後でいいよね)ってノンビリしてたけど、今年は“TTP天狗さんを助けるんだプロジェクト”ができない週末に頑張ったんだ。

……おばあちゃんのアドバイスなんだけどね。

そういえばこっそり聞いたら、隆之介は日記以外は全部終わらせてるらしい。

塾とかいろいろやってて忙しいはずなのに。

いったい、いつやったんだろう?

 

 夏休み明け前の登校日。

休み時間に隆之介が話しかけてきた。

「ちょっと、気になることを見つけたんだけどわからなくって。悠斗はるとのおばあちゃんの知恵をかりたいんだけど、頼んでもらえるかな?」

「いいけど。おばあちゃんの家に行く?……って、校区外だった。どうしよう?」

「ああ、大丈夫。悠斗が今日の帰りにぼくの家に寄ってくれれば。気になったところをプリントアウトしてるから、それを見てもらってほしいんだ」

「いいよ」

放課後、隆之介の部屋でその“気になるもの”を見せてもらった。

それはぼくたちの市の白地図で、天狗さんが見つかった場所それぞれに×印がつけられていた。

「ここ、天狗さんが見つかった場所だよね?」

「そう。最初に悠斗が見つけた場所と、身体があった場所と……って印をつけてみたんだ。場所になんらかの法則があるんじゃないかと思ったんだけど、そこから先が思いつかないんだ」

「法則……そういえば最初の玉以外は、みんな水にかかわる場所にあったんだよね。その法則がこの前は狂ったんだけど」

「そうなんだ。でも、見つかった部分だけだとなんかピンとこないんだよね……あ!もしかして」

 

 隆之介は白地図をもう1枚プリントアウトして×印をつけなおした……最初の場所を除いて。

そして最後の、空振りだった場所に新たに印をつけた。

「そこ、ダメだったところじゃない?」

「うん。そうなんだけどちょっと、ね。確か、ここの水に憶えがあるって天狗さん言ってたでしょ?で、4か所の印を2本の線で結ぶと」

……地図の上には、大きなバツ印が描かれた。

「この交差したあたりに、なにかあるんじゃないかな?」

白地図では、分からない。

大体の場所を地図で探したけど、わからなかった。

「ぼく、この地図持っておばあちゃんのところに行ってくるよ」

「頼むよ。もしかしたらぼくの思い込みかもしれないけれど」

 

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