あと、ひとつ 7
「そうだねえ」
しばらくして『これなら、行けるか?』とつぶやいて、ぼくたちの方に向きなおった。
「この広場の奥には川があって、水辺で遊べるようになってるんだ。泳ぐとかじゃなく水辺遊びね。そこに連れて行ってもらうというのはどうかな?」
「そうだな。それ、いいかも!」
「じゃあ、目的はそれとして。いつ、行く?」
隆之介がこの前見せてくれた自作カレンダーをテーブルに置いた。
「来週って、お盆に入るんだよね。ぼく、お盆はかあさんたちと出かけるんだけど、まだ日にちが決まってなくて。だから来週はフルで空けておきたいんだ」
「あ、おれんとこも出かけるからそのつもりでねって言われてる」
「じゃあ、最速で再来週の火曜だけど……火曜日に最終打ち合わせして、行くのは水曜か木曜ということにしていいかな?」
「ぼくは大丈夫。日にちは、おばあちゃんに聞いてみるね」
「おれも、大丈夫」
「じゃあ、そういうことで」
翌週のお盆休みには、パパが単身赴任先から帰ってきてくれた。
久しぶりにパパに会えて、ぼくも嬉しかったけれどママはもっと嬉しそうだった。
ぼくは天狗さんのことは隠して、石窟に行ったこととか水風呂に入りに行ったことをパパに話した。
「楽しそうなこと、やってるな」パパもニコニコしてぼくの話を聞いてくれた。
「来週も、どこかに行くんだって?」
来週おばあちゃんに車を貸すことを、ママから聞いていたらしいパパが聞いてきた。
「うん。なんかね、水辺で遊べる場所があるんだって。そういうところって行った事ないから楽しみなんだ」
「今年は冒険三昧だな。お
「いいのよ。お母さん
「そういう
「そうね、それもいいかもしれないわね」
お盆明け。
約束どおり、火曜日にいつもの公園で遊びがてら打ち合わせして、水曜日に行くことに決定した。
集合場所は、この前と同じで市役所の駐車場にした。
まず、おばあちゃんがぼくの家に来てパパの車に乗り換えてみんなを迎えに行くんだ。
「お母さん、運転気をつけてよ?久しぶりでしょ?普通車の運転。それによそのお子さんも乗せるんだし」
「私の安全運転は、真智が一番よく知っているでしょう?」
「それはそうなんだけど」
ママはおばあちゃんの運転が心配みたいだけど、少なくともママの運転よりは安心して乗っていられるんだよね。
でも、それは言わないでおいた。
続
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