水風呂への道 4
今日も
「決められたメンバーしか入れないという概念からすると、ぼくの部屋も結界ということになるね」
そんなことを言ってたけど。
「ところで、みんな、どうだった?ぼくはOKもらったよ」隆之介が言った。
「ぼくも、貰えた」
「おれも、大丈夫だったよ」
「おれ……一応はOKもらったけど、条件つけられた」
「どんな条件なの?
「兄ちゃんと一緒だったら……って。おれたち小学生だから、子どもだけじゃだめってさ」
「智生のお兄さんだって、まだ中学生じゃなかった?」
「そうなんだけどさ、小学生だけよりはマシとかなんとかいうんだ」
「で、お兄さんはなんて言ってるの?」
「『めんどくせえ、なんでオレがガキたちのお守りをしないといけないんだよ。オレはそんなとこに行く気はないからな』ってさ」
智生はふてくされたような、しょんぼりしたような顔をしていた。
「兄ちゃんが一緒でないとママたちがOKしないし、なのに兄ちゃんは行きたくないっていうし。おれ、どうしたらみんなと行けるんだ?」
「……智生のお兄さんが一緒だったら天狗さんのことがバレてしまうよね。それは避けたいな。あ、念のため聞くけど、智生のお兄さんって天狗とか、そういう不思議なものへの理解はあるほう?」
「まっっっっったく!なし!!」
「そっか……だったら、余計に知られたくないね」
「ねえ、智生のおかあさんたちってさ、ぼくたち小学生だけではダメだから、お兄さんも一緒にって言ったんだよね?」ぼくは言った。
「そうだよ」
「じゃあさ、ぼくのおばあちゃんが一緒に行ってくれるなら、お兄さんは一緒でなくてもいいんじゃない?」
「そうかもしれないけど……。あ、悠斗のばあちゃんって天狗さんのこと知ってるんだったな」
「知ってるも何も、最大の協力者だよ」ぼくは答えた。
「ママに頼むときのアドバイスも貰ったし、『もしも誰かが子どもだけではダメと言われたら私がついていく』って言ってくれたんだ」
「最大の協力者だし、最強でもあるよね」隆之介がぽつりと言った。
「え?最強って、なんで?」智生が尋ねた。
「悠斗のおばあちゃんってさ、昔、小学校の先生してたらしくてね……ぼくのかあさんと智生のおかあさん、ふたりとも習ったことがあるらしいんだ」
「え?おばあちゃん、先生してたの?」初耳だった。
「あれ、悠斗は知らなかったんだ?」
「うん……初めて知った」
「非常勤っていうの?必要なときだけ来て、教えてもらってたって。先生をしている期間は短かったけど、いまでも覚えてるって言ってたよ……そうとう印象に残ってるみたい」
続
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