水風呂への道 2
「そういえば、みんなは公共のバスって乗った事ある?」
「ぼくは、ない」
「おれは、こっちに来る前に学校行く時に乗ってた」
「おれは、ないな」
「ぼくもない。だから調べてみたんだけど」隆之介がそう言って、なにか印刷された紙を広げた。
どうもバス会社が乗り方を説明しているページを印刷したらしい。
「これはここの市営バスとは違うバス会社のなんだけど、たぶん同じだと思うから使わせてもらう。まずは、バスの前面にある表示で行き先を確認する。乗る時には、運賃を現金で払う場合は整理券を取る。降りたいバス停の名前が表示されるかアナウンスされたら降車ボタンを押す。整理券番号で確認したのと同じ金額のお金と整理券を運賃箱に入れるという手順らしいんだ。ところで、ぼくたちが乗ろうとしている市営バスには両替機がついていない」
「と、いうことは?」
「さっき必要なお金は500円って言ったけど、500円玉を持ってきてもバスでは使えないということ。一番最初にバスに乗るからね」
……教えてもらって、よかった。
「じゃあ、500円のうち少なくとも100円分は50円玉とか10円玉で持ってないといけないんだな」
「そういうこと」
「サンキュ。おれ、500円玉持ってくりゃいいんだって簡単に考えてたよ」
「ぼくも」
「おれも」
「あと、念のためタオルは持っていたがいいと思う。あと500円は最低必要な金額で、少し余分に持っていたほうが安心かも。……このくらい準備しておけば許可は取りやすいんじゃないかな?」
「そうかもな。いろいろ聞かれたときにちゃんと答えられるとウケがちがうもんな」蓮が言った。
「それでもダメって言われたときは……そのときにまた考えようか」
「そうだな。で、次の作戦会議はいつにする?」
「今週集まれるのは明日だけだから……できれば明日にしたいんだけど」
「了解」
「わかった」
「がってんしょーち」
みんなと別れたぼくは、一旦おばあちゃんの家に行った。
「あのね、今度みんなで水風呂に入りに行きたいねって話してたって言ったでしょ?」
「ああ、昨日友達……
「うん。そうしたら隆之介がいろいろ調べててくれて。なんかね、市営バスで行くことができるんだって。料金とか乗り方も調べててくれたんだ」
「さすがね。用意周到というかそつがないというか」
「でね、やっぱり遠いから親の許可をもらっておいたがいいねって話になったの」
「そりゃ、行き先が分かっていたほうが親としては安心できるものね」
「だから、ねえ、おばあちゃん。行ってきてもいい?」
「私じゃなくて、
続
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