次の謎 5

 え……?

ぼくが、天狗さんの末裔もしくは血筋かもしれないって?

ポカンとした顔をしていたようだ。

「まあ、『かもしれない』だけどね。あくまでも、ぼくの空想だから」隆之介りゅうのすけが言った。

空想でも隆之介が言うと、妙に説得力があるから困ってしまう。

でも、そう考えると天狗さんが『波長がわかる人とわからない人がいる』っていうことも説明がつくかも。

天狗さんと同じ血を引いているかもしれない……それはそれでいいことだよね、きっと。

そのおかげでこうやって『TTP~天狗さんを助けるんだプロジェクト』(いつのまにか智生ともきが名づけてた)を進められるんだもんね。

「まあ、それはおいておくとして」れんが言った。

「残りの、両手ってどこにあるんだろうな?」

「最初が井戸、だったよね。つぎがわき水。だから今度も水に関係した場所じゃないかとは思うんだけど」隆之介が言った。

 

 「水……ね」蓮が言った。

「水かぁ。水と言ったらプール、入りたいよな」智生が言った。

「だな、毎日暑くてかなわないよ。それなのに市営プールは改修でお休みなんてさ」

「老朽化で漏水したらしいね。市の施設、古いのばっかりだからね」隆之介が蓮をなだめるように言った。 

「そういえば……」智生が思い出したように言った。

「プールじゃないけど、夏限定の水風呂があるの知ってるか?」

「夏限定の水風呂?」ぼくと蓮が同時に言った。

「あ、なんか聞いたことがあるような。けっこう山の方に入っていくんじゃなかったかな?」隆之介が言った。

「そうそう。サウナがあって、水風呂もあるらしいんだ。おれの叔父さんが近くに住んでてさ、夏になったら毎日のように行ってるんだって」

「へえ、水風呂って気持ちいいだろうな」蓮が言った。

「気持ちいいのなんのって。すっごく暑い日でも、入った後はしばらく涼しさが続くって叔父さん言ってたよ。ただし」

「ただし?」

「入った時は、キュ~ってんだってさ」

 

 ちぢみあがる……寒い日に外に出るとブルブルってきて鳥肌がたつけど、あんな感じなのかな?

でも、暑い日でも涼しさが続くっていうのなら入ってみたいかも。

蓮と隆之介も同じ気持ちのようだった。

「それ、入ってみたい!!」言うのも3人同時だった。

「おれも入ってみたいけど、どうやって行く?叔父さんちからなら歩いて行けるらしいけど、そこまでが結構遠いぞ。おれが伯父さんちに行くときはパパかママの車だけど、20分くらいかかるもん」

車で20分……どのくらいの距離かわからないけれど、すっごく遠いということはよくわかる。

「今度は、歩いていくというわけにはいかなそうだね」隆之介が言った。

「おそらく10キロ近くあると思う」

「10キロか……でも、今度は水風呂だろ?こないだよりは親の許可、もらいやすいんじゃないか?」蓮が言った。

「許可がもらえたら、自転車で行かれるんだろ」

「道……わかる?」隆之介が言った。

 


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