次の謎 2

 「ええ?そんなことないんじゃない?たまたま、かくれた場所に天狗さんの玉があっただけだと思うよ」

「そうかしら?悠斗はるとが玉を見つけたって聞いてから、子どもたちがその遊具で遊んでいるのを時々観察していたんだけど。悠斗が玉を見つけたのって、縦穴の途中の横穴でしょう?あの縦の穴って結構子どもたちが頻繁に出入りしているようなのよ。何年もの間、誰ひとり横穴に気がつかない方が不思議だと思うんだけど」

「だって、ぼくがやっと入れるくらいのせまい横穴だよ?」

「入れないにしても、のぞき込みくらいはするでしょう。悠斗だって穴があったら、のぞいてみたくなるでしょ?」

「それは、そうだけど」

そう。

のぞいてみて、ぼくなら隠れられそうと思ったから隠れてたんだ。

のぞかなかったら、知らないままだったから反論できないけど。

 

 「まあ。それは冗談として」

「ええ!冗談だったの?!ひどいよ、おばあちゃん」

「あら、ごめんね。でも、波長が合ったから出会えたって考えた方がミステリアスだし、親近感がわくでしょう?」

「親近感って言われても」

おばあちゃんの考え方、ときどきぶっ飛びすぎて反応に困っちゃうよ。

「そういえば、悠斗は最初に天狗さんと意思疎通した時に、どんな気分だった?たとえば怖いとか、イヤだなって気持ち持った?」

ぼくは天狗さんを拾った日のことを思い出してみた。

たしかひとりで部屋にいた時に話しかけられて、声はするのに姿が見えなくて。

オバケか何か?って思ったけど、不思議と怖くはなかったな。

姿を見せられても、(ああ、そうなんだ)って感じだったし。

「ううん。びっくりはしたけど怖いとか、そんな気持ちにはならなかったよ」

「元の姿を取り戻す手伝いを頼まれたときは?」

「ぼくが手伝えるんだったら、助けてあげたいって思った。だって、困ってたみたいだったから」

「面倒だなって、思わなかった?」

「面倒とは思わなかったよ。ぼくなんかで手伝えるのかなとは思ったけれど」

 

 「そうなのね」

おばあちゃんは、ニッコリ笑ってぼくの頭をなでてくれた。

「ところでさ。昨日、天狗さんの足が二本ともいっぺんに見つかったのって、どうしてだと思う?もちろん早く見つかるのは嬉しいんだけど」

【わき水それぞれに、片方ずつあったようじゃ】

突然天狗さんが話に加わってきた。

「それぞれにって?」

【石窟には、水が湧いておる場所が二か所あったであろう?】

「うん。だからぼくたちは2人ずつに分かれて水を飲んだんだ。でも、最初に玉を出したときには反応しなかったよね?天狗さんが調べてくれて“ある”ってわかった時も」

【そのあと、ぬしに移動してもらったであろう?】

「うん」

【あの場所がちょうど両のわき水の中間地点となっておって、そこでないと戻らぬようになっておったようじゃ】

「そうなの?!」

【うむ。場所もじゃが、高さも必要だったようじゃ】

「高さ?ぼくに持ち上げさせたのはそのため?って、なんで場所と高さがわかるの?」

 

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