挑戦 5
「じゃあ、全員参加で決行だね」ケロリとした顔で
「そしたら、いつにする?」
「みんな、この日は用事があるっていう日があったら教えてくれる?」隆之介が尋ねた。
手には紙とペンを持っている……さすがだな。
「あ、おれ、土曜と日曜がむずかしいわ。
「おれは……今のところ決まった用事はないよ」
「了解……ぼくは……と。月曜、金曜は1日中と土曜日は午後から用事が入ってる。
「ぼくは今のところ用事は入ってないよ」
「だとしたら……」隆之介がしばらく考えて言った。
「火曜、水曜、木曜の中から選ばないといけないわけだね」
今日は水曜日……。
「じゃあ、一番早いのは明日か?」蓮が言った。
「そうだね。明日をのがすと来週の火曜日になる」隆之介が言った。
「じゃあ……明日行くか?」蓮が言った。
「だね」
「だな」
ぼくと智生も同意した。
「じゃあ、明日の1時に」隆之介が言った。
「OK!」
「了解」
「ラジャ!」
3人は口々に言った。
「あ、帽子とタオル。もちろん水筒も忘れたらいけないよ……熱中症が怖いからね」隆之介が念押しで言ってきた。
そして……木曜日。
いつもの場所に今日はみんな自転車で集合した。
忘れ物も遅刻も、一切ないなんて珍しいことかもしれない。
「じゃあ、行くよ!」
道がわかっているのは、隆之介ひとり。
ぼくたちは隆之介を先頭に縦一列に並んで自転車をこいだ。
しばらく走った頃、隆之介が自転車を止めた。
そこは小さなお店がある交差点だった。
「このあたりが校区の端っこ。道路の向こう側は違う校区になるから、自転車はここに置いていくよ」
そういうとお店の中に入って行った。
「こんにちは!おばさん。昨日お願いしに来た事だけど。しばらくの間、お店の横に自転車停めさせてもらいます」
そう言っている声が聞こえた。
「ああ、昨日の子ね。いいわよ。邪魔にならない所だったらどこでも……お友達も一緒なんでしょう?偉いわねえ、宿題のためにこんなところまで来るなんて。気をつけて行ってくるのよ」
そう言ってるおばさんの声が聞こえた。
「宿題……?違うし!」智生が言った。
「シッ!いいからそういうことにしておこうぜ」蓮が言った。
たしかに、ただ行くよりは宿題のために行くと言った方が印象が違ってくる。
『ぼくたちの力だけで調べたかったんですって言った方が、オトナ受けがいいんだよ』って隆之介が言いそうな気がした。
「さ、行こうか」出入り口から出てきた隆之介にうながされて、ぼくたちはお店の横の空き地の邪魔にならなそうな場所に自転車を置いて鍵をかけた。
続
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます