挑戦 3

 「それは、大丈夫」ぼくはおばあちゃんにれんが思いついた案を教えた。

おばあちゃんは大人だけど、どっちかというと“ぼくたち側”だから、他の大人に言いつけたりしない……と思う。

「ふうん。その子、なかなか大したものじゃない?よく知恵が回るわ」

「でしょ。さすがの隆之介りゅうのすけもおどろいてたよ。あ……でね、おばあちゃん」

「なあに?」

「このこと……」

「わかってるわよ。だれにも言わないわ。悠斗はるとたちとの秘密ね」

「ありがとう!」

さすがは、おばあちゃんだ。

「あ、そろそろ帰らなくちゃ。おばあちゃん、早くカゼ治るといいね」

「まあ、ぼちぼち治すわよ」

ぼくがおばあちゃんの家から帰ろうとした時、声が聞こえた。

 

 【これ!小僧!】

「え?天狗さん?どうしたの?って小僧だなんて……ひどいなあ」

まあ、こわっぱよりはマシだけど。

【ぬしの祖母殿は、病をわずろうておるのか?】

「うん。カゼひいちゃったらしいんだ」

【カゼとは、なんじゃ?】

「えーとね、熱が出て、くしゃみが出たり咳が出たりする病気だよ」

【ふむ……風病ふうびょうのようなものかの……これ、小僧。わしを祖母殿に渡してくれぬか?】

「だ~か〜ら~。ぼくは小僧じゃなくて悠斗はるとだってば。おば……みやさん。天狗さんが玉を持っててくれって」

「そうなの?……はい、このあとどうしたらよいのです?」

【そのままでよかろう。祖母殿、ちいとばかり不思議な心持がするかもしれぬが、堪忍の】

そういうと、玉はと光りだした。

その光が大きくなっておばあちゃんの身体全体を包んだかと思うと、ふっと消えた。

 

 「え?今のって何だったの?」

【わしの『気』を分けたのじゃ。おそらく風病は治癒しておると思うが、どうじゃ?祖母殿】

「おばあちゃん、どう?」

「え?あ!あら!喉の違和感がなくなってるし,咳も出なくなってるわ……さっき光に包まれたとき暖かい何かが入ってきて体全体に広がっていく感じがしたのだけど。天狗さんが風邪を治してくださったのですか?」

【治したのではない。祖母殿の体内に自然より分けてもらった力を注いだまでじゃ】

そんなことって、できるの?!

天狗さん……実は、スゴイ人なんじゃ??

「天狗さん、病気を治せたりするんだ」

【わしが治すのではない。その者のもっておる元々の治ろうとする力に手助けをしておるまでじゃ。言うたであろう?わしは自然の力を借りて、諸々の事を行なうておると】

……頭と身体だけしかないのにそんな不思議なパワーが出せるなんて。

元の姿を取り戻したら、いったいどんなすごいことができるんだろう?そう思いながら、ぼくは家に帰った。

 

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