挑戦 2

 「もちろん、校区からすごく離れているところになると使えないけどね。今回の場所だったらクリアできると思う」隆之介りゅうのすけが言った。

……なんだかワクワクしてきた。

「じゃあさ、いつ行く?」同じようにワクワクしてきたらしい智生ともきが言った。

「できるだけ早く行きたいのはやまやまなんだけど。まだ梅雨が明けてないし、雨だと自転車に乗られないから……夏休みまで待つっていうのはどうかな?悠斗はるとは待てる?」隆之介が聞いてきた。

夏休みまで、もう一か月もない。

「うん。待てるよ」

「じゃあ、夏休みになったら、決行しよう。それまでにちゃんとした場所は確認しておくよ。あとできれば一番近い、自転車を置いておける場所を探しておく」

「ありがとう、りゅう

 

 そして、待ちに待った夏休みがやってきた。

いつも夏休みは待ち遠しいけれど、今年は特別に待ち遠しかった。

……成績表は、うれしくなかったけどね。

終業式の今日も,普通に授業があるから帰る時間はいつもと同じ。

だから、作戦会議は明日の午後と決めた……決めたと言っても普段通りに公園に集まるだけなんだけどね。

「ただいま!」

「おかえり、悠斗。帰ってすぐで悪いんだけど、おばあちゃんの家におつかいを頼まれてくれない?」

「いいよ。今日は、なにを持っていったらいいの?」

実はここ数日、おばあちゃんってば夏カゼをひいたらしくって。

だから学校から帰ってから、おばあちゃんの家に頼まれたものとかママが作ったおかずを届けていたんだ。

おばあちゃんのカゼが治るまでまだ日にちがかかるようなら、わき水の場所に行く日をずらしてもらわないといけないよね。

 

 「こんにちわ~!おばあ……みやさん、具合はどう?」

「はーい……(ケホッケホッ)悠斗かい?具合ねえ、熱もないし体のだるさもないんだけど、咳がなかなかおさ(ケホッ)まらなくてね」

「なかなか治らないねえ。あ、これママから」

「いつもごめんなさいね(ケホッ)。そういえば、天狗さんはどうされてる?」

ぼくはポケットから玉を取りだして、おばあちゃんに見せながら言った。

「えーとね、クコ茶は毎日続けてるよ。身体が戻ったからか、養分の吸収が早いと喜んでるみたい。あ、でね。2ヶ所目の候補の場所を隆之介が探してくれたんだ。お父さんから聞いた話らしいんだけど。そこに夏休みになってから行こうっていう話になっているんだ」

「あら、今度の場所はどこ?」

「場所はよくわかんないんだけどね。観音様の像があってわき水があるんだって」

「ああ……一度行ったことがあるわ。そういえばお水を汲んでいる人がいたわね」

「なんかね、霊水と言われている水なんだって」

「そういえばそんなこと書いてあったような、なかったような。だめね……近くていつでも行けると思うと説明文なんて飛ばし読みしちゃうわ。あら?でも、あそこは悠斗の学校からは校区外になるんじゃないの?」

 

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