新たな謎解き 2

 「なぁに?へこんでるの?」

ただいまもそこそこにリビングに入っていったぼくを見ておばあちゃんが言った。

「うーん。凹んでるっていうか……」

ぼくはおばあちゃんに、昼間のことを話した。

「そうねえ。飛びは練習すれば上手になっていくから、練習あるのみね。天狗さんのことは……確かに難しいわね。なんとなく秘密にしちゃってるけど、オープンにしたときのメリット・デメリットを考えると、ちょっとね。現代では“伝説上の存在”なんだから、居るといっても信じてもらえないだろうし。信じたら信じたでがおこるかもしれないし」

「要らない騒動?」

悠斗はるとは『ツチノコ』って知ってる?」

「ツチノコって、へびだよね?伝説の……“UMAユーマ”の本に載ってたよ」

「そのツチノコが、昔ブームになってね。いろんな目撃談が出たりして。見たって言われたところに多くの人が殺到して、いろいろとトラブルがあったのよ。昔ですらそうした記事が横行してたのに今みたいにネットが普及していると……」

「あ、もしかしてフェイクニュース?隆之介りゅうのすけが言ってた言葉だけど」

「そういう心配もあるっていうこと。それに天狗さんがどう思っているかが一番大事ね。ゆっくりでも探してほしいのか、スピード第一でお祭り騒ぎよろしくと探してほしいのか……」

「そういえば天狗さん、『何年かかっても大丈夫』みたいなこと言ってたよ」

「だったら、ちゃんとしっかり探したがよさそうね」

「うん」

明日みんなに確認しようと思うけれど、やっぱりこのまま秘密にしておいた方がよさそうだと思った。

 

 翌日、昼ごはんのあといつもの公園に行ったられん隆之介りゅうのすけが来ていた。

「みんな早いね。あれ?智生ともきは?」

「まだみたいだよ。そのうち来ると思うけど……昨日は大変だったみたいだね」

待ってる間に昨日の話を蓮から聞いたようだった。

「大変と言うか……報告したいことがあったのにできなくってさ」

「そっちもだけど、悠斗って苦手なんだってね」

「え~!そっち?」

蓮も隆之介もニヤニヤ笑いをしている。

「もう!あとからはちゃんとできるようになっただろ!」

「ああ、ごめんごめん。悪気はないんだよ。いろんな事、そこそこできる悠斗にも苦手なものあったんだな~って思っただけ」隆之介が素直に謝ってきた。

「ところで、報告したかったことって?」蓮が言った。

「あのね、昨日の朝おばあちゃんに頼んで……」

言いかけたところに『お~い!』と聞こえた。

声のする方を見ると、智生がこっちにむかって手を振りながら走ってくるのが見えた。

 

 

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