謎解き 4

 そういえば前にテレビで放映してたのを観た覚えがある。

一緒に観てたママが、高校生だか大学生のころ最初に観たって言ってた。

「あ~、そういえばあったね」ぼくは言った。

「ああ、あったような・・・・・・でも、よくそんなの思い出したな」とれんが言った。

「まあね、なかなか興味深い映画だったから。ときどき観なおしたりもしてるし」隆之介りゅうのすけが言った。

「多分この池も、そういうゴミ?自然の中にないものが捨てられてるんだと思うよ」

「そういえば、兄ちゃんが言ってたんだけどさ」痛みから回復したらしい智生ともきが言い出した。

「ここの池、学校が近いだろ。昔、校庭の朝礼台が投げ込まれてたことがあったってさ」

「ええ?それ、運動会とかで校長先生が立つあの台だよね?そんなもの、小学生で運べるの?」びっくりして、ぼくは聞き返した。

 

 「まさか。小学生じゃないよ。中学生か高校生かわからないけれど、学校に忍び込んで持ち出してイタズラしたんだって。兄ちゃんも人から聞いた話って言ってたけどね。うそではないらしいよ」智生が言った。

「まあ、その話がホントかウソかはともかく、この池は道路にも近いからね、こっそり何か捨てに来る人がいてもおかしくないよ」隆之介が言った。

「たとえ壊れて捨てるにしても、捨てないと。モノには念がこもるからね。ぞんざいに扱うと、悪しきものともなりうる・・・・・・とかあさんが言ってた」

りゅうのかあさん、すげえ」智生が言った。

「まあねえ。オカルトとかなものとか大好きな人だからね。ぼくにまで強要することはないから、そこまで気にしてないけど。やっぱりいつの間にか覚えちゃってるもんだね」苦笑しながら隆が言った。

「この池がダメでもさ、川とかだったら大丈夫なんじゃね?この辺の川は浅くて底も見えてるし。ゴミとかないと思うんだけど」蓮が言った。

「う~ん。それでも生活排水も流れてると思うし。たんぼや畑にまいた農薬や化学肥料も雨で溶けて流れてそうだし。天狗さんが暮らしてたころは、“人工のもの”なんてなかったんじゃない?」

そっか。

天狗さんが何歳かはわからないけれど、自然の力を操ってたって言ってたから周囲には自然しかなかったはず。

「あ、そういえば。隆は『水にかかわる場所』って思いついたときに、どんな場所を想像してたの?」ぼくは聞いてみた。

「池は違うと思うって言ってたけど・・・・・・」

「ぼくも最初は川か海かって想像してたんだ、流れがある水。だけど、さっきの天狗さんの反応から池はもちろんのこと川も海もリストから外れちゃったんだよね。あと思いつくのは井戸なんだけど、今でも井戸を普通に使っている家なんてないよね」

 

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