謎解き 2

 「おい、シカトすんなよ!なんの話?って聞いただけだろ!」

確かにそうなんだけど……それにうっかり教室でしゃべってたぼくたちも悪いんだけど。

「・・・・・・古田はさ」

隆之介りゅうのすけがこっちをむいて口を開いた。

「フェイクニュースって言葉、聞いた事ある?」

「フェイクニュース?聞いたことはあるぞ。なんのことかは全然わかんねえけど」

「フェイクニュースっていうのは、虚偽の情報でつくられたニュースのことなんだ。うそだと断言はできないけど『絶対にほんとう』とも言いきれない情報がふくまれる。で、さっきぼくが悠斗はるとと話していたことは、その『不確実な情報』。そんな情報を第三者……この場合は君だけどね、古田。第三者にもらすわけにはいかないんだよ」

「高橋は、聞いていいのかよ?」

拓也たくやはくいさがって聞いてきた。

「悠斗はいいんだよ。というか元々悠斗から聞いた話に関係する情報だから。ほんとうかも知れないし、うそかも知れない。それをちゃんと分かっている者同士でしか話せないことなんだ」

……さすが隆之介。

「だから、ちゃんと確実な情報とわかった時は、話すよ」

「……わかったよ。絶対だな?」

「もちろん」

しぶしぶといった感じで拓也は教室を出て行った。

「さんきゅ、りゅう。でもさすがだね、あんなにすらすらと」

「それこそフェイクいれてるし。嘘も方便だよ。……ごめん。学校では言わない約束だったのに破っちゃって」

どこからが嘘でどこがほんとなのかは……ぼくにはわからなかった。

「ううん。だいじょうぶだよ。とりあえず、今度の土曜日でも試してみる?学校に玉を持ってくるわけにはいかないから」

「いいよ。ほかの2人にはその時に伝えよう」

 

 そして土曜日。

ぼくは玉を持って公園に行った。

ぼくが着いたのが3番目で、れんが少し遅れてやってきた。

4人揃ったところで隆之介が話し始めた。

「こないだ思いついたときに、悠斗には話したんだけどさ」

「なにを?」蓮が答えた。

「こないだ天狗に関わる場所ってどこだ?ってなってただろ?それで悠斗にも確認したんだけど、天狗は水の神様の使いだって話、覚えてる?」

「……そんな話、したっけか?」蓮が答える。

「したような気もするけど・・・・・・」智生ともきもイマイチ覚えていないようだ。

「・・・・・・したんだよ」あきれたように隆之介が言った。

「それでね、思いついたのが『水に関係する場所』が、『天狗にかかわる場所』なんじゃないか?っていうことなんだ」

「あ!たしかに」智生が言った。

「見つけられるようにしないとヒントじゃないもんね。じゃあ、さっそく水の近くに行ってみようよ」

今にもかけ出していきそうな智生を、隆之介は冷ややかな目で見て言った。

「水の近くって、どこに行くつもりなの?智生」

「え?学校の隣の池だけど?」

 

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