作戦会議 2

 「じゃあ、まずは場所の特定からか」“あ~あ”と言いたげな顔で智生ともきが言った。

「天狗にかかわる場所って、いったい何なんだ?」

みんなもそれぞれに腕を組んだり、頭をひねったりしていた。

しばらくたった頃、れんが口を開いた。

「なあ、今ここで考えてても何も思いつかないと思うんだけど。そんなことよりかくれんぼしようぜ」

「そうだね」場所が全然思いつかなかったぼくは、すぐに同意した。

「賛成」

「だね。下手の考え休むに似たり」隆之介りゅうのすけがまとめた。

 

 遊び終わったぼくは、みんなと別れてまずおばあちゃんの家に行った。

ほんとは今夜も泊まって天狗さんとの話を続けたかったけれど、今日はママも帰ってくるし明日は学校があるから、そういうわけにはいかない。

「ただいま~。おばあ……みやさん、なにかあった?」

「おかえり。天狗さんはずっと静かなままよ」

「そうなんだ。あ、あのね、みんなに天狗さんといっぱいしゃべったことを話したのね。でも、手がかりってなるとやっぱりみんな何も思いつかないって。智生が天狗の像じゃない?って言ったけど、蓮もりゅうも違うだろうって言ってた」

「そうね。さすがに像は違うと思うわ。それはそうと。悠斗はるとの家ではクコ茶は続けられるけど、さすがにセージを焚くのとはちみつ湯は難しそうね。天狗さんの体調?っていうのかわからないけれど、調子が悪くなった気がしたら持っていらっしゃい」

「うん。ありがとう」

「あと、手がかりのことも考えておいてね。わたしもちょっと調べてみるけど」

 

 家に帰りついたら、まだママは帰っていなかった。

とくにおつかいとかも頼まれてなかったから、手を洗って部屋に帰りポケットから玉を出して机の上に置いた。

玉を見ながら、ぼくは昨日のことを思い出していた。

ママの急な出張のおかげで、浄化っていうこともできたし、はちみつ湯で天狗さんの元気を取り戻すこともできた。

それに今までよりもたくさん話ができて、天狗さんのことをいっぱい教えてもらえた。

手がかりの謎はまだ全然解けてないけれど、玉を拾ってすぐの時よりはずっと天狗さんの助けになれるような気がしてきた……まだ気がするってだけだけどね。

あ~あ、ママの出張がもっと増えたら、天狗さんの手助けがもっともっとできるのに……おばあちゃんに手伝ってもらって、だけど。

そんなことを考えてたら玄関のチャイムが鳴って鍵をあける音が聞こえた。

 

 「ただいま~。悠斗、帰ってる?」

「おかえり、ママ」

ぼくは部屋を出て玄関に行きながら答えた。

「ごめんね、遅くなって。夕ご飯、冷凍ピザで我慢してくれる?」

「ぜんぜん構わないよ。ピザ大好きだもん……あ、ぼくが焼こうか?ママ着替えとかあるでしょ?」

「あら、珍しい。でも大丈夫?ちゃんと焼ける?」

「大丈夫だよ、まかせて」

 

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