作戦会議

 「そんなことがあったんだ!」

翌日のお昼過ぎ、いつもの公園に集まった時にぼくは昨日のことをみんなに話した。

一番最初に反応をしたのは、思ったとおり隆之介りゅうのすけだった。

「うん。りゅうのおかあさんに分けてもらったセージ?っていうのがすごく効果があったみたいで。ありがとう」

「そうなんだ。きっとかあさんも喜ぶと思うよ、役に立てたって。元気?っていうのは変かもしれないけど、それだけ会話ができるようになったのってすごいことだよ」

「だよな。えっと天狗の望みはもとの姿を取り戻すことだっけ?ほかの身体がある場所の手がかりも言ってたんだろ?あとはそこに行くだけ。ちょろいって」智生ともきが親指を立てた“グッ”のポーズをしながらそう言った。

「でもさあ」

れんが口をはさんだ。

「手がかりっていっても『天狗にかかわる場所』ってだけだぜ?かっていう場所は全然わかってないんだよ?」

「そうだね。いくら広くはないといっても、市内のどこに行けばいいのかまったくわからない今の状態では、行くこともできないよね」隆之介も言った。

「天狗って、市役所の近くに立ってるアレだろ?あれ関係があるんじゃないの?」智生が言った。

「いや」隆之介が答えた。

「あれは、つい何十年か前に建てられたものだって聞いたよ。天狗が封じられたのはずっと前って話だったよね?」

「うん。自分が何歳かわからないくらい長いこと生きてるって言ってた」ぼくは答えた。

「市っていう言葉も知らなかったし。人が住んでいる場所のことは里とか村って言ってた。おばあちゃんも『ずいぶんと昔の話っぽいわね』とも言ってたし」

 

 「そんな昔からあの場所に建ってたとは思えないし。それにもしだったとしたら『関わる場所』なんて言い方はしないと思うよ。だってあの像は『そのもの』だもん」隆之介が言った。

「だよな~。そんな単純なはずはないよな。なんたって反省しろって罰みたいなものなんだろ?」蓮が続けた。

「それにさ、悠斗はるとが見つけた玉が頭で、あと5ヶ所分隠されているんだよな?」

「うん。そう言ってた」

「あの像、市内に5個もたってないだろ?俺、こっちに来たばっかりでよくは知らないけど」

「うん。たぶん2~3個だと思うよ」隆之介が蓮の問いに答えた。

「ぼくもしっかりと数えた事はないから、ちゃんとした数は知らないけど。かあさんの車で移動するときに、2か所くらいでしか見かけてないんだ。……行ってない場所にあったらわからないけどね、市内は大体の場所に出かけてるから」

 


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