新たな実験へ
学校が終わってから、ぼくは
ほんとはいけないんだけど、ランドセルを背負ったまま。
ぼくの家とは逆方向になるし、一度帰ってからだと隆之介の塾の時間に遅れてしまうからだった。
「ちょっと待ってて」そういうと隆之介は家の中に入り、紙袋を持ってすぐに出てきた。
「このなかに、かあさんのおすすめがはいってるんだ。あと使い方とか書いたメモも入れてるって」
紙袋を受け取ると、思ったよりずっと軽かった。
「ありがとう」
「なんか、火をつかわないといけないからオトナの人と一緒じゃないとダメよってかあさんが言ってた」
「そうなんだ。明日にでもおばあちゃんちに持って行ってみるね」
「ただいま!」
「おかえりなさい。遅かったわね」
「うん。ちょっと用があって
手を洗って自分の部屋に入ってから、紙袋をあけた。
中には紙が一枚と透明なビニールの袋が入っていた。
ビニール袋を出してみると、中には白っぽい色の乾いた葉っぱが10枚くらい入っている。
顔を近づけてにおいをかいでみたけれど、なんだかよくわからないにおいがした。
でも、いやなにおいではなかった。
紙も取りだして読んでみたけれど、知らない漢字があってよくわからなかったのでおばあちゃんに任せることにして両方とも紙袋に戻した。
日課にしているクコ茶を作りにキッチンに行ったら、ママが話しかけてきた。
「それ、おばあちゃんと一緒にやった実験でしょう?まだ続けてるの?」
「うん。ちゃんと結果が出るまでは続けなさいって言われてるもん」
「もう一週間くらいでしょう?まだ出ないの?その結果ってやつ」
「うん。もうしばらくかかるみたい」
「まあ、何かを続けることはいいことだけどね。あ、それでね
「え?あ……うん。出張って?」
「最初はね、別の人が行くことになってたのよ。うちは今悠斗とママのふたりだから、ママが泊りで出張に行くと悠斗が夜、ひとりになっちゃうでしょう?だけど、その人が急に行かれなくなったからってママ相談されたの、代わってもらえないかって。で、おばあちゃんに悠斗をひと晩お願いできるか頼んだらOKもらえたの」
「ふうん。いいよ、おばあちゃんちだったら本もいっぱいあるし」
「よかった。ごめんね急な話で。そろそろ夕ご飯にしましょうか」
「うん。あ、これ部屋に持って行ってくるね」
ぼくはクコ茶が入ったマグカップを持って部屋に戻った。
(やった~!!!)
ドアを閉めてすぐぼくは心の中で叫んで、小さくガッツポーズをした。
続
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