手伝い開始
「え~?なんだよ、それ?」
「わかんなかったら、手伝うもなにもないだろ?」
「あ、ごめん。言い方が悪かったよ。なにをどう手伝えばいいかは、天狗さんに聞いたらわかるみたいなんだ。だけど、なかなか聞けなくて」ぼくは慌てて言い足した。
「なにが、聞けないの?」
「この玉の力?だかが落ちてるせいで、ぼくとしか会話ができないんだ。だけど言ってる言葉がむずかしくてわからなくて。力が戻って誰とでも話せるようになったら、おばあちゃんに聞いてもらおうって思ってるんだけど」
「ふうん。玉の力……かぁ。この玉、水晶って言ってたよね?」隆之介が言う。
「うん。ぼくがビー玉拾ったって見せたら、持ったとたんに『これは水晶だよ』って」
「じゃあさ、
「言ってた。というか、まずは一番簡単にできる浄化をしてみましょうって流水にさらして。少し力が戻った天狗さんに聞いた浄化に使えるもの、天狗さんはきょうそうって言ってたけど。天狗さんが使ってた薬草の中でクコの実だったら手に入りやすいかもって、探してもらってるとこ……って
「ああ、ぼくのかあさんが天然石とかアロマに凝ってるから、ウチにいろいろそろってるんだ。ときどき『浄化しなきゃ』ってゴソゴソしてるの見てるし」
「そうなんだ」
「へえ、すっげぇ。隆のかあちゃんってカッコイイ趣味持ってるんだな」
「趣味っていうか、なんなんだろ?占いとかああいうの大好きみたいだよ。でもしょせんはシロートだから、どこまでできてるかは知らないけどね」
そうクールに言いながらも、隆之介は母親がほめられたのがうれしそうだった。
「ねえ。じゃあさ、隆。おかあさんにどんな浄化法があるかきいてくれる?できれば簡単なもので」ぼくは隆之介にたのんだ。
「うん、いいよ。たしかこの何日かは出張って言ってたから。帰ってきたら聞いてみるよ。水晶の浄化……でいいよね。天狗さんのことは、どうしよう?」
「隆のおかあさんって、そういうの信じる人?」
「信じるかはわからないけれど、TVで『神秘!』とか『ミステリー』ってつく番組は観てるから興味は持つかも。ま、深く聞かれたら伝えることにするよ」
なんだかおばあちゃんと似たタイプかも……おばあちゃんはTV観ないけど、本棚にはそういう本がいっぱい並んでるから。
「よ~し。じゃあ、そういうことで決まりな。さ、やろうぜ!かくれんぼ」智生が言った。
「最初はグー!ジャンケン……」ぼくと智生と蓮がグー、隆之介がパー。
今日は負けちゃった。
「じゃあ、数えるよ。いーち、にー……」ぼくらのカウントダウンの声を聞きながら隆之介は隠れ場所を探しにかけだしていった。
続
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