仲間に引き込む
「
「ごめーん。おばあちゃんちに行ってたんだけど、出るのがおそくなっちゃった」
おばあちゃんちから待ち合わせ場所の公園まではゆるい上り坂になっているので、自転車をこぐのは結構大変なんだ。
「悠斗来たから、さっそくやろうぜ!かくれんぼ」
「最初はグ・・・・・・」
「ちょっと待って!」ぼくは、じゃんけんのかけ声をかけようとした
「なんだよ?」いつもはクールな隆之介の声が少しだけとんがってる・・・・・・。
「あ、ごめん、
「そういえば、なにか拾ったって言ってたよね。何を拾ったの?」智生が聞いてきた。
「これなんだ」言いながら、ぼくはポケットからビー玉を出してみんなに見せた。
「なんだよ、ただのビー玉じゃないか」のぞきこんだ蓮がつまらなそうに言った。
「それが、ただのビー玉じゃなかったんだ」ぼくは言った。
「それって、どういうこと?」隆之介が聞いてきた。
「これ・・・・・・水晶玉で、中に天狗さんが封じ込まれているんだ」ぼくが言うと、3人は口々に言った。
「ウソだぁ!信じられるかよ?そんなこと」
「そんなこと、あるもんか」
「遅れたいいわけだったら、もっとマシなウソつこうよ」
ひと通りみんなが言い終わったあと、ぼくは言った。
「ぼくだって、信じられないよ。でも、ホントなんだ」
そうして、昨日みんなと別れて帰ってからあったことを、今日おばあちゃんちで話したことも含めて、みんなに聞いてもらった。
「ほんと・・・・・・なのか?まあ、悠斗がそんな手のこんだウソつくとは思えないから多分ホントなんだろうな」隆之介がポツリと言った。
「それで?悠斗は手伝うの?その、天狗さんだっけ」蓮が言った。
「うん。手伝ってあげようかな?って思ってる。でね、みんなにも手伝ってもらえないかな?って思うんだけど、どう?」こんなこと頼むの、図々しいかな?と思いながらぼくはみんなの顔を見回した。
みんなも、それぞれの顔を見比べている。
「……いいんじゃない?手伝うのも」最初に口を開いたのは隆之介だった。
「だね。困ってるみたいだし。先生たちもいつも言ってるもんね、困ってる人がいたら、助けてあげなさいって」智生も同意する。
「人助け……いや天狗助けなんて、なかなかできる経験じゃないもんな」そう蓮が言って、ニヤッと笑った。
「じゃあ、やりますか!」隆之介が音頭を取り、ぼくたちはハイタッチをかわしあった。
「で、なにをすれば天狗さんを助けられるの?」智生が聞いてきた。
「それが……よくわかってないんだ、まだ」
続
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