意思疎通3

 ぼくは、おばあちゃんに言われたことを天狗さんに伝えた。

「あのね、さっきの女の人は、ぼくのおばあちゃんなのね。それで、直接天狗さんとお話してみたいっていうんだけど、何かいい方法ってある?」

【方法と言われてもな。わしがいくばくかでも能力ちからを取り戻せれば、可能かもしれぬが。如何せん玉そのものの精気も減っておるようでの】

ぼくはおばあちゃんに、がんばって記憶した天狗さんの言葉を伝えた。

「えっとね、わからないことばが多かったから、そのまま言うよ?『ほうほうといわれてもな。わしがいくばくかでもちからをとりもどせれば、かのうかもしれぬが。いかんせんたまそのもののせいきもへっておるようでの』だって」

 

 おばあちゃんは、ぼくの言うことを机の上のメモ用紙に書き写した。

「力が戻れば、ね。精気が減ってるということは、どういう意味かしらね?天然石だとパワーが減ったと感じたら浄化しましょうって聞いたことはあるけれど。玉の浄化をしてみたらいいのかしら?」

そうつぶやくと、おばあちゃんはつと立ってリビングのすみにおいてあるPCパソコンのところに行った。

「水晶……の浄化と」

カチカチとキーボードを打つ音が響く。

「そう、ねえ。どっちがいいんだか。太陽……塩……水……。あ!そういえば」

今度は立ち上がってとなりの部屋に行き、しばらくガサゴソと何かを探すような音がしたかと思うと、ファイルを手にして戻ってきた。

「この説が本当だとすると……よし。これを試してみよう」

そう言って、ファイルをPCの横に置き、ぼくのところに戻ってきた。

悠斗はると、天狗さんは玉の精気が弱まってるって言ったんだよね?」

「うん」

「この玉ね、悠斗はビー玉って言ってるけど、それとはちょっと違って水晶という物質でできているのよ。ちなみにビー玉はガラスでできているの」

「へえ……ガラスじゃないんだ。その水晶ってどういうものなの?」

「水晶は、パワーストーンのひとつでね。願い事をかなえたりとかお守りにしたりする、そういう特別なものなの。悠斗のママも薄水色の宝石が入ったペンダントつけているでしょ?」

「うん。すっごくきれいでキラキラしてる」

「三月の誕生石でアクアマリンっていうんだけど、あれもパワーストーンになるのよ」

そうなんだ……たしかにママは三月生まれだけど、綺麗だからだけじゃなくお守りにもなってるんだ。

「それでね、そういうパワーストーンは時折“浄化”してパワーをとりもどしてあげる必要があるんだけど。その“浄化”をしてみようと思うのね」

おばあちゃんはそういうと持ってきたファイルをぼくの前にひろげた。

「浄化には太陽に当てる方法、塩に埋める方法、流水にさらす方法……他にもいろいろあるけれど、簡単ですぐできるものがこのみっつ。で、この玉に封じられているのがカラス天狗だったら、この方法がいいと思う」

そういっておばあちゃんはファイルの一部分を指差した。

 

 

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