隠れ場所

 「悠斗はると。お前、顔出してるんだよ?」れんが言った。

「え?変かな?」

「変も何も、そんなとこに穴なんてあるのかよ?」

蓮のあわてた声に智生ともき隆之介りゅうのすけがてっぺんに上ってきた。

「どうした?」智生が言った。

「いや、悠斗がへんな場所から顔出すから」

「変な場所?」隆之介が言いながら穴をのぞきこんで、穴を見上げてたぼくと目を合わせた。

 

 「ああ、そこにかくれてたんだ。よく入れたね」

「うん。ずいぶん前に見つけてたんだけど、なかなかになれなかったからね。やっと今日使えたんだ」

りゅうも知ってた場所?」蓮が言う。

「うん。知ってたけど、ぼくでは隠れられなかったから使わなかった。たぶん智生もそうだと思うよ」

「うん。知ってたし入ろうとしたけど、頭とか足とかどこかがそとに出ちゃうんだよな」

「ふたりとも知ってたんだね。知らなかったのは蓮だけなんだ」

「いいから、出てこいよ。光るものって見つかったのか?」智生が聞いてきた。

「うん。ポケットにいれてる。そっちに上ったがいい?それとも下りる?」

「下で集まろうよ」隆之介が言った。

「あ、おれ、悠斗がかくれてた場所、見たいから見てからそっちに行く」蓮がちょっと悔しそうに言った。

一緒に遊んでる4人のうち自分だけ知らなかったってなると、確かに悔しいよね。

でもさ。

 

 「あ~。蓮には見られないんじゃない?」智生が言った。

「ぼくもそう思う」隆之介も同意する。

ぼくは隠れ場所を出て穴を下り、トンネルをくぐって出口に立って3人を待った。

「そんなはず……たしかにおれには無理だ」蓮が残念そうに言い、3人とも滑り台を滑って下りてきた。

下りてきてすぐ、蓮はぼくに質問をぶつけてきた。

「見れなかったから聞くけどさ。あのたて穴のどこに隠れ場所があるんだ?」

ぼくは落ちていた木の枝を拾って、地面に絵を描いて説明した。

 

 「すべりだいのてっぺんから下に続くたて穴があるよね。そこの真ん中くらいにの穴みたいな狭いスペースがあるんだ」

「そうそう。すっごく狭くてさ」智生も説明に加わる。

「だね。なんでここに穴がいるの?って最初思ったもん」と隆之介。

「で、お前たち入ったことあるの?」蓮が聞いてくる。

「おれは前に隠れようとしたら頭が出てたらしくて見つかっちゃた」と智生。

「ぼくは隠れようとしたけど、身体がかたくて諦めた」と隆之介。

「なんだよ。試せてないの、おれだけかよ」残念そうな蓮。

「だって……蓮には無理だし」と智生が追い討ちをかけた。

「絶対とか、ひでぇ」

「だって、で子供の遊具にもぐって遊ぶとか、無理だろ?」

 

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