光るもの

 目の端に入った光るもの。

ちょっと気になったけど、とりあえずは外に出た。

アラーム聞こえたらすぐに出て行かないとしたって言われるからね。

「やったね、今回はぼくの勝ち」

「すげえな。悠斗はるといったいどこに隠れてたんだよ?あっちのほうから出てきたよな?」そういってぼくのうしろを指さした。

「そうだよ。あそこの滑り台のとこ」

ぼくはかくれていた遊具を答えた。

 

 「え~?おれ、あそこも探したんだぜ?」

「あそこね、ぼくくらい小さかったら隠れられるとこがあるんだよ。今度見てみてよ。あ、でもれんみたいに大きかったら入れないかも」

「うるせ!ちび悠斗。ま、いいけどさ」

「すげえな。悠斗の勝ちか~」

「ひさしぶりじゃない?勝ちが出たの」

そう言いながら智生ともき隆之介りゅうのすけが近寄ってきた。

「うん。めちゃくちゃ久しぶりに勝てた感じ」ぼくは答えた。

 

「どうする?もう一回やる?」蓮が言った。

「やろうぜ」

「もちろん」

智生と隆之介も同意する。

もちろんぼくもやる気満々。

「うん、やろう!でも、その前にちょっと待っててくれる?」

「どうしたの?」隆之介が聞いてきた。

「さっきさ、隠れてたとこから出ようとしたら、何か光るものが見えたんだ。今日はもうかくれられないから、なにがあるのか見てこようと思って」

「あ、じゃあおれたちも一緒に行くよ。隠れてた場所も見たいし」と蓮が言った。

 

 ぼくたちは滑り台の前に集まった。

金属製のそれではない、背の高さよりずっと高いをひっくりかえしたような形で、すべる部分が一ヶ所と反対側に一ヶ所の合計二ヶ所、そして階段が一か所。

すべる部分以外のところは半円分は丸っこい石がいっぱいうめ込んであって、手と足をつかってよじのぼれるようになっている。

階段がある半円分は打ちっぱなしのコンクリートのまま。

地面に接しているところには穴があって、すべる部分と交差するようにトンネルが作ってあった。

そのトンネルは、てっぺんにあいてる穴と鉄のはしごで行き来ができるようになっている、そんな遊具だった。

 

「じゃあ、取ってくる」

そういってぼくはトンネルをよつんばいになって進み、まんなかからてっぺんにむかうはしごをのぼった。

そうして隠れてた場所にはいった。

(えっと、たしかアラーム聞こえて出ようとしたときだから。あ、あった)

光るものは隠れてた穴の入口近くに落ちていた。

いつからあったのかは知らないけれど。

何かはわからないまま、ぼくは丸い形をしたそれを拾って、ズボンのお尻のポケットに押し込んだ。


 「おーい悠斗。見つかったか?」

「あったよ蓮。今から出て行く」

「って、お前、どこに隠れてるんだよ?トンネルは智生とりゅうが見てて、おれがてっぺんの穴からのぞいてるんだけど、お前どこにいるんだよ?」

「ここだけど」ぼくはひょいと顔を出してあげた。

「うわあ」連は大声を出した。

相当びっくりしたらしい。

 

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