ビー玉を拾ったら天狗が封じ込められていたんだけど、その天狗に頼まれて元の姿を取り戻すために協力しないといけなくなったぼくたちの話を聞いてくれる?

奈那美

かくれんぼ

 あの日、ぼくは友だちとかくれんぼをしていた。

それも、普通のかくれんぼじゃないかくれんぼ。

 

 普通のかくれんぼは、じゃんけんで負けたやつがになって10だったり、100だったり数える。

その間に、みんなはてんでバラバラに隠れる。

数え終わったは『もういいかい?』と声をかけて、隠れたみんなが『もういいよ』とこたえる。

この声がゲームスタートの合図で、隠れている全員が見つかったらそこでゲームは終わり。

次のを決めるじゃんけんをして、帰らなきゃならない時間が来るまで遊び続けるんだ。

 

 でも、ぼくたちのかくれんぼはちょっと違う。

じゃんけんと隠れるまでにゆっくり10かぞえるのは一緒だけど、になるのは一番勝った人。

そしてのがルールなんだ。

だけど、すっごく見つかりにくいところに隠れたらずっと見つからないから、ゲームは終わらない。

それはそれでつまらないから、以外の誰かひとりがタイマーを持って、3分間隠れ通したら“の勝ち”としてゲーム終了。

というやつ。

ただし、が勝った回に使った隠れ場所は、その日は使用禁止。

あと、アラームが聞こえる範囲内にしか隠れてはいけないというルールもある。

だからとして隠れ通すのは、けっこう大変なんだ。

だって、そうでしょう?

1対1なら隠れられても、探す人が5人とかになったらあっという間に探されてしまう。

 

 このルールになったのは、前にふつうのかくれんぼしてた時に、じゃんけん弱い子がずっとのまんまで、おまけにみんなを探しきれなくて。

とうとう泣き出して、先生に「いじわるされた」って言いつけたからなんだ。

ぼくたちだって、その子がのときはできるだけ見つけやすいところにかくれるんだよ?

見えやすいようにかくれてても、前を素通りしちゃうんだから、やってられないよ。

そこで考えたのが、このルール。

みんなで探すから、その子が見つけられなくても誰かが見つけるし。

見つかりやすいのがあたりまえだから、あっという間に見つかっても『仕方ないや』で終わっちゃう。

 

 いつの間にかぼくたちの間では、これが当たり前のかくれんぼになった。

いちばん最初はシンプルに“さがし”って言って“かくれんぼ”とは区別して遊んでたんだけど、いつの間にか“かくれんぼ”といえばこっちを指すようになったんだ。

そして、あの日。

久しぶりにになれたぼくは、前から気になっていた隠れ場所に隠れた。

運よく誰にも見つからずにアラーム音が聞こえたから『やっりぃ!ぼくの勝ち!』と言いながら隠れ場所を出ようとした時に、キラッと光るものが目の端に入ったんだ。

 

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