第4話 新たな出発

 何時間車に揺られていたのだろう…。いつの間にか雅は車の後部座席に乗りながら寝てしまっていた。

 「雅ちゃん、ここがこれから一緒に暮らしていく新しい家だよ。」

と、穏やかな口調で新しい父親が話しかけてきた。

ふと窓の外を見ると豪華な二階建ての家が目に入った。 

「うわぁ~」

思わず声を出してしまって慌てて口を手で抑えた。

「ははっ驚いたかい?」

父親が雅に話しかけた。

「はい。」

「この家には専属のお手伝いさんもいるから安心していいんだよ。雅の好きなようにしていいんだよ。」と優しく話しかけた。

雅は小さな声で

「はい。」

とだけ答えた。


 家に入ると初老の女性が小走りに玄関まで迎えに来た。

「おかえりなさい。旦那様。長旅お疲れ様でございました。寒かったでしょう。」

 「奥様もお疲れ様でした。お体は大丈夫でしたか?食事の準備ができております。」

と、次から次へと急いだように話しかけてきた。

 雅はどうしていいか分からず呆然と立ち尽くすしかなかった。

 「お嬢様もおかえりなさいませ。私こちらでお手伝いをさせていただいている如月(きさらぎ)と申します。これからよろしくお願いいたします。」

と雅に頭を下げた。

雅は戸惑ってしまい、どう答えていいか分からなかった。今まで、大人たちに頭を下げられるようなことなどなかったのだ。

「さぁ、こんな玄関先にいてはお体を冷やしてしまいますよ。中にお入り下さいな。」

と明るく如月が3人に声をかけた。

 

 家の中に入ると、とても暖かく今までの生活とは天と地ほどの違いがあり雅の顔つきもようやくほころんできたようだった。

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