第31話 

ラゾーナに着くと、まず最初に地下に向かった。

地下にこれといったものは無いが、とりあえずエスカレーターが前にあったので地下に降りてきた。


「…スタバがあるけど、それ以外行くところあるか」


「ラゾーナって何があるのかい?」


「俺にはわからない」


「…私は来た…事無いよ?」


「誰も何も分からない様子か。ならマップを見つけよう」


「僕のスマホで何があるか調べるかい?」


「その手があったか。ならお願い」


秋山はスマホを取り出して、調べ始めた。

俺はスマホを持っているが、響はまだ持ってなかったな。

連絡手段が無いのは、まずいんだけど、問題は響だけだとまだ契約が出来ないので、スマホを持つことができない。

そして何故か響が手を繋いでくる。

まぁ響なら本当に迷子になって館内放送されそうなので、別に良いか。


「こんな感じだよ」


秋山は俺たちにスマホの画面を見せてくる。


「地下に無印があるのか。そこに行って生活に必要な物買うか」


「服は上の階にあるね」


「…何を…買いに来たの?」


「響が家に住むのに必要なもの」


「…洋服あるから…大丈夫だよ?」


「響、洋服3着しか持ってないじゃん」


「僕でももっと持ってるよ」


「後は、歯ブラシとかも必要だな」


「…それは…必要かも」


「とりあえずは必要な物は無印と100均で揃うと思うけど服は何処に買いに行くか」


そんな会話をしてながら歩いていたら、無印良品についた。

ラゾーナ何回も来たことあるけど初めて無印に来たな。


「ニトリみたいになんでも売ってるんだな」


「僕も何か買おうかな」


「脳みそ?」


「もう取り返し付かないから、脳みそ変えても無駄だよ」


「…性格…」


「あれ?響君からも攻撃が来てる?」


「まぁ性格は死ぬほど悪いってわけでも無いし大丈夫でしょ」


「僕のライフはもうゼロだよ」


会話をしていると前に見慣れた、男が一人いた。相手はこっちには気づいていないようだが、秋山も俺と一緒で気づいたみたいだな。

哀れなひとを見る目をしているから多分気づいてるはず。


「東海林君、どうする?声かけるかい?」


「久しぶりに見たから声かけても良いけど、今日は響の買い物だしな」


「…私は…大丈夫だよ?」


「何か響ってとりあえず大丈夫だよって言ってない?」


「確かに響君、よく言ってるよね」


そして響が大丈夫と言った時に、少し繋いでる手に力が入っていた。

多分知らない人に会うのが、怖いのかな。

秋山は単純に人間関係構築するのが下手で、響は初めて会う人には少し抵抗があるというか怖いという感じかな?

秋山は虐められてたし、響は家庭環境がアレだったので、しょうがない気がするけどね。


「声を掛けるよりも、必要な物を買うのを急ごう」


「そういえばお風呂場の歯磨き粉がもう少しで無くなりそうだよ」


「それは薬局とかで買うか」


無印の中を歩いていると食品売り場に着いた。レトルト用の物やお菓子だったり結構種類がある。

ここだけで揃えたものだけでもう生活出来るんじゃないんだろうか。


「てか気づかなかったんだけど、いつのまにかカゴの中に歯ブラシ入れた?」


「話してる最中に通りかかったから、カゴに入れたよ」


「気づきもしなかったんだが」


「…私も気づか…なかった」


「まぁとりあえずカレーでも買ってみる?」


「またカレー週間が始まりそうだね」


「ならお菓子でも買うか」


「僕は、キャラメルスコーンっていう奴が食べたい」


「俺も欲しいな。響も居る?」


「…欲しい」


「なら3個買っておくか」


その後も3人で美味しそうな物を探して入れたら思ったより買うことになった。

家のお菓子が少なくなってたからちょうど良いけど、1日分とかなら多いな。

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