第30話

結局、体育が終わるまでずっと響は眠そうにして俺と秋山は喋っていた。

今は数学授業で後5分でチャイムが鳴る。

これが終われば帰れるが、教科書もノートも持って来てないから何にも出来ないな。

何で学校来てるんだろうか?

何か秋山はこっちを見てるし、隣の席の人はまともに板書をしている。

何で偉い子なんだろうか、俺と秋山なんてノートを持っていようがいまいが板書なんてしない。

この調子で卒業出来るか不安になって来たな。


「それじゃ、3分早いが授業は終わりにするぞ。ちゃんと復習しておけよ」


本当に何もしないで授業が終わってしまった。

今日この後どうしようかな。響が生活に必要なものを買わないといけないし、今日買いに行こうかな。


「東海林君、今日はこの後どうする?」


「秋山か、この後は必要な物を買いに行こうかなって」


「僕も一緒について行っても良いかい?」


「良いよ。なら響も呼んだほうが良いか」


「一人だけ家に帰らせるのは流石に可哀想だと思うし、呼んだほうが良いと思うよ」


「帰りに呼びに行くか」


話していると帰りの会が始まった。

よく考えてみると、響に家の鍵を渡してないから、日々一人では帰れないじゃん。

てか流石にそんなに予備の鍵があるとは思えないので、響とは毎日、俺か秋山が一緒に帰らないとダメそうだな。

別に鍵を複製すれば良いのか。


一人でそう考えていたら、帰りの会が終わって帰り始めていた。

一人で考えていると時間の流れが早く感じるよな


「東海林君、もう響君も来てるよ」


「隣のクラス終わるの早くないか?」


「あっちの先生は問題を起こさない限り早いで有名だからね」


「それ以外捉えなさそう」


「そうとも言えるね」


教室のドアを見ると響が一人で待っていた。

何も言わずにここに来るの、忠犬みたいだな。頭撫でると喜ぶのも犬とか猫みたい。


「俺は帰る準備できたけど、秋山は出来たか?」


「僕は大丈夫だよ」


「それじゃあ、帰るか」


俺と秋山は響が居るドアに行く。


「響、買い物行くけど行く?」


「…行きたい」


「なら三人で行くか、どこに行きたいとかある?」


「…特にない」


「僕も特にないよ」


「ならとりあえず駅に向かうか」


俺達は学校から出て順調に駅に向かった。

途中に変なおっさんがいたが見なかった事にしよう。そして駅に着くとそのまま電車に乗った。

さて何処もないとなると困ってしまうが、とりあえず川崎駅に行けば何でもあると思っているので、そこで買い物をしようと思っている。この路線の終点だし、ちょうど良い。


「そういえば、夏休みはお婆ちゃん家に帰ろうと思っているが、二人はどうするんだ?」


「去年は僕も付いて行ったよね」


「一人で帰る予定だったのになんかついてきたな」


「…どうすれば…良い?」


どうすれば良いかは俺が知りたいが、響の場合は本当にどうすれば良いんだろうか?

家に置いて行くのも、可哀想だし響が行かない気で居るのに無理やり連れて行くのも、それそれでまた違う気がする。


「付いてきても家にいてもどちらでも良いよ」


「なら…二人が行くなら…ついて行く」


「僕は行く気だよ」


そんな会話をしていると川崎駅に着いた。

電車から降りて俺達は、ラゾーナに目指して歩く。多分こっちであってたはず。


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