第3話 ここどこや?

俺は現在、学校に行くために乗る路線を間違えて、何処にいるのか分からない状況になっている。


『次は大船〜大船〜』


車内アナウンスが聞こえてくるが俺にはもはや完全に意味のないものになっている。

これが本当のミステリートレインかとそんな呑気な事を言っている状況ではなく、普通にホームルームが始まっている時間になっている。


とりあえず次の駅で降りるとして、少し周りを見てみると、バイオに出てきそうなぐらい疲れているサラリーマンが複数人いる。

これはもはや吉幾三も銀座でバイオをやるレベル。



そして俺は大船駅で降りホームの椅子に座っていた。

見慣れた京浜線と東海道線、スカ線が走っているのが分かる。

流石に学校に連絡でも掛けようかなと、スマホを見てみると着信履歴が何件もあった。

開いてみてみると、全て秋山からの電話である。

ここまで来るとストーカーみたいだな。

どっかの誰かみたいに後ろから包丁で刺されるのではないかと心配になるがまだメールは来ていないのでセーフだと思いたい。


「しょうがないか、電話するか」


LINEから秋山に電話をかけてみる


『あ、東海林君今どこにいるの?』


ワンコールもしないうちに、もう電話に出た。

普通もう少し掛かると思うのだが、秋山はどうなってるんだ?


「今はな、大船駅にいる」


『何でそんなところにいるの?』


「御もっともですね。今は大船駅にいるよ」


『……東海林君今さ、大船って聞こえたけど、何かの間違えだよね?』


「なら耳の穴かっぽじって聞いてくれ」


『分かったよ。それで何処だって?』


「今な、京浜線の大船駅にいるんだ」


『あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ……………』


スマホからキーンと言う音が聞こえてきた。

秋山がついに壊れてしまった。

クラスで大声出してるのかな、めちゃくちゃ周りから注目を集めそうだな。

人間の廃品回収ってしてくれるのかな?

頭のトラブルだしクラシアンとかに頼めばやってくれそうな気がしなくもない。


「秋山、死んだか?死んだなら返事をしてくれ」


『……ごめん取り乱しちゃった』


「うわっ生きてたんだ」


『東海林君は、戻り方分かるの?』


「(あれスルーされた)怖いんで、東海道で川崎に向かいます」


『分かった、川崎駅で待ってるね』


「学校を抜け出してくるのか?」


『確かにちょっと待ってて』


校長に許可でも取りに行くのか知らないが、俺は命令通り待つことにした。

何か切ったら怖そうだし、秋山に許可を取りに行く行動力があるとは思えないしな。

中学一年生の頃の秋山は角っこにいて、ほんまもんの隅っこぐらしをしていた人間だ。

そんな奴が行動力あるとは思えない。

ボロクソに言ってる俺も、そんな行動力はないけどな。

そもそもそんなめんどくさいことしたくないし、楽して生きていきたい、もっと言うと、もう車に轢かれない人生でいたい。

まぁ、車に轢かれたのは自分から突っ込んだって言うのもあるけど。


『東海林君許可取れたから、川崎駅の時計台で待ってる』


「分かった、じゃあな」


………何があったら秋山がこんなになるんだ?

悪いものでも食べてしまったのではないのか心配になってきたが、秋山も高校生だしコミュ症みたいな所を治そうとしてるのかも知れない。


さて一度大船駅前で何か食べてから行くか。

マックぐらいなら何処にでもあるしマックを食べて帰ろうかな。

あ…今気付いたけど昼飯も買ってないじゃん

どうせ学校遅刻だし、のんびり決めてから行こう、ある意味電車を乗り間違えてよかった。


俺はマックに行ってベーコンエッグマフィンのセットを食べた後にまた東海道線に乗り川崎駅に向かった。

電話してから結構時間経っているけどもう秋山は川崎駅に居るのかな?

怒ってなければ良いけど




後書き


リアル作者は東海道線で寝過ごして大宮まで行きました…乙

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