第2話 男友達?


後輩が来た日から数日が経過し俺はやっと退院することができ、帰路についていた。

右手には教科書が入った袋、左手には何故か退院祝いで同じ部屋の人からもらった、大師巻き。

そして目の前には、病院の花壇に頭突っ込んで寝ているおっさんが居る。

駅前とかでも良く花壇に突っ込んだら奴が居るが、あたまお花畑(物理)でも流行っているのか?

本当にここはやばい町だな。

駅ビルの本屋にでも寄って帰ろうかな。


数分間、駅の方に歩いて行くと神社があった。

祭り以外で目の前を通ることなんか無いので、思ったより境内が広いのに、初めて気づいたが、それを知った事で何も得られないんだよな。

そして少女みたいな見た目をしている奴が神社の中から手を振りながら走ってきているな

………無視して帰ったら面白いかな。


「東海林君、久しぶり〜」


「秋山か、ここで何してるんだ?」


「それは東海林君こそ、学校にも来ないで何してるんだい?」


そういえば秋山は、同じ高校に進学していたな。

それも俺の友達で唯一、中学校にもなってスマホを持ってない奴なので、連絡が中々取れない。



「2週間ぐらい入院してたよ」


「え?そっか…大丈夫?」


「まぁ少し足が痛いぐらいだから大丈夫」


「東海林君さ、僕スマホ買ったんだよ」


「連絡先交換しておくか?」


「LINEか電話番号どっちにする?」


「どっちも交換しておくか」


スマホを秋山から貸してもらい。LINEと電話番号を交換した。

秋山のLINEと電話番号には俺以外には親のしか入って無さそうだな。

友達居ないのか?

中学時代の事を思い出してみても、秋山が俺以外と一緒にいた所あまり見たことないな。

女子とも男子とも秋山は一緒に居なかったし、てかなんなら未だに秋山の性別知らないんだよな。


「それで東海林君はこれからどこ行くの?」


「なら僕も一緒に行って良いかな?」


「いいよ、駅に寄って帰るだけだしな」


「なら早く行こう」


俺は秋山と駅に向かって役所通りを久しぶりに歩いているのだが、ここの通りこんなに普段混んでいたか?

家から全く出ないしつい2週間前からは入院をしていたので全く、覚えていない。


「秋山は、神社で何をしてたんだ?」


「おみくじを引いてきただけだよ」


「みくじは何が出た?」


「大吉だよ」


少しドヤ顔しながら秋山は言ってきた。

今の俺が引いたら絶対に大吉は出ないと思うから素直に凄いと思うが、何かドヤ顔が腹立つな

まぁこれは可愛いと捉える人も居るのかな。

前から通行人が横を通ったりするが、秋山の事を見てたりするし、可愛いは正義って事なのかな?


「アゼリア経由で駅ビルに行くか」


「僕は地上からでも地下からでも.どちらでも良いよ」


「地下の方が風が無いし、アゼリア行くか」


「パチ屋の方から入って行く?」


「その方が良いかな」


パチ屋の階段からアゼリアに入ると、次はゲームセンターと少し歩いた所に、宝くじ売り場がある。

それもゲーセンの上にパチ屋か。

ギャンブラー育成施設な気がしてきたな。

俺はそんな事を考えながら駅ビルに向かっていると、何故か秋山がこっちを見ながら歩いている。

前の人にぶつかりそうで怖いんだけど…


「ずっと見てきてどうしたんだ?」


「東海林君が何か考え事してそうだから」


「くだらない事を考えてただけだから」


「それはそれで気になるよ」


「そんなに気にするレベルの事では無いんだけどな」


「逆に気になるよ」


「まぁ、それはどっかに置いておいて本屋行った後はどうする?」


「東海林君の家でゲームでもしよう」


「どうせ暇だしそれで良いか」


何か少しだけ秋山が喜んでいる。

何年も一緒にいるけど秋山の事が未だによく分からないんだよな。

分からなくても、俺に害がある人間じゃ無いから良いけど、私生活が心配になってくるんだよな。

中学時代には、何回も家に泊まりに来てるし、その時は俺の親がいて秋山の親に連絡してたけどさ。

…今そんな事を考えてもしょうがないか。

別に解決して得があるかと言わられば、ほぼ無いしな。


後書き


川崎ってパチンコ、競馬、競輪ってギャンブラー育成の為の街だよな

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