男友達だと思ってた奴がなんかおかしい
大坂
第1話 入院に来るやつ
人生は長い。
人生100年時代と言われるほど、寿命も伸びて来てるが、そんな長い人生の中で退屈な時間はなんだろうか。
個人的には病院に入院している時間だと思う。
俺は、現在ここら辺で一番大きい中央病院に入院している。
この病院は、一部屋に四人の病人が入院できるようになっている。
俺みたいに若い子が周りにいれば良かったが、残念ながら現実は残酷だ。
この病室には俺以外、見た目が60歳以上のお爺ちゃん達しか居ない。
そしてそのご老人たちからたまに飴や、お菓子を受け取っている。なんか大阪のおばちゃんみたいなんだよ。
はぁ〜さっさと退院したい
せっかくの高校生になったんだし、バイトとか遠出したりしてみたい。
そんな事を思っていると、俺のベット周りのカーテンが開かられる。
「東海林先輩、生きてますか?」
俺がベットから起き上がるとそこには、見慣れた後輩?の姿があった。
相変わらず元気そうだなこいつは。
「2週間経って初のお見舞い人が後輩なのが、悲しいんだけど」
実は入院してから2週間経っている。
その間にお見舞いにきた人はゼロ人…
LINEのグループで中学の友達に入院することになりましたと送ってもなんの成果も得られませんでした。
「先輩…人望が無いんですね」
「そうだな、一番最初に後輩なあたりが俺の人望の無さを物語ってるよな」
「そういえばお見舞いの品持って来ましたよ」
後輩の手を見てみるとたしかに紙袋に何か入ってるように見えるが、この後輩がまともなものを持ってくるわけがない。
俺の誕生日に日本人形を持って来たことし、その前には、路上で配ってるテッシュを箱で渡してきたからな。
今回もどうせ変なものだろう。
「とりあえず現実的なものにしてくれよ」
「大丈夫です」
そういうと、後輩は机の上に紙袋の中身を置いていく,
中からは大量に教科書らしきものが出てきた。
春休みの宿題でも終わってないのだろうか?
こいつは宿題の事を敵だと思ってるからな。
「宿題代わりにやるのは無理だよ?」
「宿題じゃないです。これは先輩の高校一年生の教科書ですよ」
「……は?」
「だから教科書です」
「机が壊れそうだからとりあえず下ろしてくれない?」
ベットに付属してる机が悲鳴をあげそうで怖い。
そんな事もお構いなさそうに後輩は、教科書をまだ積み上げている。
そろそろ本の厚みが六法全書を超えてきたな。
俺の方に倒れてきたら、肋が折れそう。
病院に来てまでも、怪我なんてしたくも無い。
「先輩なら何とかなります」
「根性論で解決しようとするな」
「大和魂で何とかしてください」
「それで解決するなら俺は、とっくのとうに退院している」
今思ったんだが…こいつはどうやって俺の入院している事を知って、入院先がこの病院だと知ったんだ?
俺は流石に後輩には、入院している事を言っても無いし、てか後輩のLINE持ってない。
部活も違う後輩のLINEなんて普通持ってないよな?
「てか何で俺が入院してるって知ってるんだ?」
「それは兄が教えてくれました」
「拓人か、そういえばあいつもLINEグループ入ってたな」
拓人は、小学生からの俺の友達で、高校はどこ行ったか聞いてないが、頭脳明晰でどんな事をやらせても、完璧にこなす人間。
ここだけ聞いても拓人って勝ち組だと思うのだが、それに加えてイケメン。
聖人か何かなんですかね?
今思うと中学の時に拓人はめちゃくちゃ女子にモテていたな。
最終的に誰かと付き合ったと言う噂は聞いた事ないけど。
そんな拓人と同じ血が流れているコイツも案の定可愛いし、ある程度勉強ができる人間だが……性格がね。
少し変なんだよな。拓人の教育が悪いのか、変な点について誰も言わない周りが悪いのか。
「それで、拓人は最近どうしてる?」
「兄なら、多摩川で釣りしたり東扇島で釣りしてます」
「その魚って食えるの?」
「鰻は食べれますよ。本当は食べない方が安全ですけどね」
「多摩川の鰻か、汚染されてそうだな」
多摩川のあの汚れぐらいはもはや芸術だと思う。
一年前ぐらいに土手を歩きながら川を見てみたらマネキンが流れていてびっくりしたな。
「そろそろ帰りますね。端っこに教科書置いておきますね」
「持って帰ってくれると助かるんだが」
「袋入れて置いておいた方が良いですよね?」
「…耳ついてる?」
そんな事を言っても後輩は教科書を袋に戻し、角っこに置き始めた。
切実にもっとまともな後輩が欲しい。
先輩でも良いけど俺の先輩には頭がおか……愉快な連中しか居ないんだよな。
何でこんなに変な奴しか集まってこないんだろう。
会ったこともない奴の悪口言うのはあまりよろしくないが、このままいけば同じクラスのやつも、狂った奴しか居ないんだろうな。
救いはないんですかぁ(ドドウ)
「それじゃあ、先輩また今度」
「そうか。もう会わないと思うのだが」
「兄からLINEもらうので大丈夫です」
「…今から雇える殺し屋って居ないかな」
「そんな簡単に居ないです」
そう言い、後輩は帰って行った。
とりあえずあの後輩は、俺との面会を出禁にしてもらおう。
ふと、今考えると、入院理由が車に跳ねられたって側から見れば阿呆な事だよな。
友達も跳ねられたことがあるし、もはや日常茶飯事になっていて誰も来ないのかもな。(違う)
そう考えると、やっぱり川崎は人が住むところでは無いのかもしれない。
引っ越して来た時には光化学スモッグの放送にビビっていたが、今ではそんな事を気にするほどでもなくなった。
さっさと退院して他の市に行きたい
後書き
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